乳腺上皮細胞は、特定の刺激条件が揃えば乳汁の合成と分泌を行うが、条件がひとつでも欠ければ、それを感受し、乳汁合成を停止させる。本研究では、インスリンおよびコルチゾルといった体制ホルモン、および内性因子であるヒスタミンシグナルが、乳腺上皮細胞の極性を高めることを通して、乳汁合成の開始に寄与することが明らかとなった。これらのシグナルは、生体組織の乳腺で乳汁分泌に必要条件ではあるが、培養した乳腺上皮細胞に盛んな乳汁分泌を促す十分条件ではないことがわかった。乳汁を生産するバイオリアクターの開発には、さらなる研究が必要である。
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