1. PLA法によるSuper transportsomeの可視化 2種のタンパク質が近接し複合体を作っている場合にのみ蛍光が観察される新しい方法が開発されProximity ligation assay(PLA)ないしはDuolink PLAと命名された。この方法は作製した動物種が異なる抗体があれば,通常の抗体染色法の延長として組織切片にも適用できるという特徴を有する。私たちはラットとウサギで作った種々の抗体を組み合わせて,既にNa+イオンの取り込みに関わるNhe3とCarbonic anhydrases(CA2a & CA15a)及びアンモニア輸送体Rhcg1が,イオン輸送に特化した塩類細胞膜上で,複合体を作っていることを明らかにした。淡水中で濃度勾配に逆らってイオンを取り込むために,Super transportsomeともいうべき複雑な複合体を形成していることを明らかにした。 2. Super transportsomeの機能解析 Na+/H+ exchanger(Nhe3)のイオン輸送活性を電気生理学的に測定するのは難しいとされてきたが,私たちはゼブラフィッシュのNhe3bをアフリカツメガエル卵で発現させ電気生理学的に活性を測定することにはじめて成功した。しかも結果は,これまで仮定されていた電気的に中性ではなく,起電性であることを強く示唆した。上記1の結果と合わせると,動物生理学上の長年の課題であった淡水魚のNa+イオンの取り込み問題をほぼ解決したことになる。
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