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2012 年度 実施状況報告書

学習による脳内単一神経細胞内でのcAMP濃度上昇の測定

研究課題

研究課題/領域番号 24657055
研究機関徳島文理大学

研究代表者

伊藤 悦朗  徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80203131)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードcAMP / モノアラガイ / 学習 / 記憶 / 単一細胞
研究概要

「学習時に脳内の単一神経細胞内でcAMP濃度は本当に上昇するのか?」これは世界中で誰も未だに示すことができていない問題である。この難問を、軟体動物モノアラガイから単離した脳を条件づけすることで、学習に関与する単一神経細胞においてcAMP濃度が本当に上昇しているのかを検証することが、本研究の目的である。
検出方法としては、cAMPセンサータンパク質であるEpac1-campsを用いた。そこでまずは、Epac1-campsを大腸菌で発現させるための至適条件の検討を行い、これを決定した。次に、大腸菌をソニケーション破砕した上清からEpac1-campusを精製し、それがcAMPセンサータンパク質として機能することを確認した。cAMPが結合していないときはFRETが起こりYFPの蛍光強度が強い。しかしcAMPが結合すると、YFPの蛍光強度が小さくなることが確認された。すなわちCFPとYFPの強度比の変化がcAMPの濃度依存的に変化することが確認された。これはin vitroでは、大腸菌で発現・精製したEpac1-campusが、十分にcAMPを計測可能であることを示している。
そこでさらに、モノアラガイの単一神経細胞に発現ベクターを導入して発現させるのか、または、タンパク質を人工的に発現させておいて、それを細胞に導入し、高感度で微量検出できるように、イメージング装置を改良して行くのか、このどちらの方法で研究を進めるのかを検討した。結果として、タンパク質を人工的に発現させておいて、それを細胞に導入したほうが良いことが分かった。このことは、Epac1-campsの合成タンパク質を細胞に導入する実験のほうが、汎用性が増すので良いと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度までは予定通りに進むことは当初から予想されており、その通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

今後は、脳を単離した状態で条件づけを施し、学習記憶に関与する単一神経細胞内でのcAMP濃度上昇を証明する。モノアラガイは動物個体において、味覚嫌悪学習を習得できる。条件刺激としては嗜好性のショ糖を、無条件刺激としては忌避性の塩化カリウムが与えられると、その後、条件刺激であるショ糖を与えられて、もそしゃく運動(すなわち口を動かしてショ糖を食べる運動)を引き起こさなくなる。これをくちびると脳とを一緒に単離した標本を作製し、そのくちびるにショ糖ならびに塩化カリウムを順次与え、そして最後にショ糖を与える。このときに、この学習で重要な働きを示す単一神経細胞内でのcAMP濃度測定を行う。
また一方で、個体学習したモノアラガイから脳を単離してきて、非学習個体の場合と、当該の単一神経細胞内でのcAMP濃度の絶対量も比較してみる。これはEpac1-campsの定量性ならびにその濃度分解能から可能だと考えられる。

次年度の研究費の使用計画

イメージング実験用の試薬(消耗品)の購入にほとんどうぃ用いる。また学会発表が可能であればその参加旅費にあてる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Involvement of insulin-like peptide in long-term synaptic plasticity and long-term memory of the pond snail Lymnaea stagnalis2013

    • 著者名/発表者名
      J.Murakami, R.Okada, H.Sadamoto, S.Kobayashi, K.Mita, Y.Sakamoto, M.Yamagishi, D.Hatakeyama, E.Otsuka, A.Okuta, H.Sunada, S.Takigami, M.Sakakibara, Y.Fujito, M.Awaji, S.Moriyama, K.Lukowiak and E.Ito
    • 雑誌名

      J. Neurosci.

      巻: 33 ページ: 371-383

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Paired pulse ratio analysis of insulin-induced synaptic plasticity in the snail brain2013

    • 著者名/発表者名
      J.Murakami, R.Okada, Y.Fujito, M.Sakakibara, K.Lukowiak and E.Ito
    • 雑誌名

      J. Exp. Biol.

      巻: 216 ページ: 1771-1773

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Consolidation of long-term memory by insulin in Lymnaea is not brought about by changing the number of insulin receptors2013

    • 著者名/発表者名
      D.Hatakeyama, A.Okuta, E.Otsuka, K.Lukowiak and E.Ito
    • 雑誌名

      Commun. Integr. Biol.

      巻: 6 ページ: e23955

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Memory trace in feeding neural circuitry underlying conditioned taste aversion in Lymnaea2012

    • 著者名/発表者名
      E.Ito, E.Otsuka, N.Hama, H.Aonuma, R.Okada, D.Hatakeyama, Y.Fujito, S.Kobayashi
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e43151

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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