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2013 年度 実施状況報告書

極限還元環境における化学認識機構の進化多様性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24657058
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

滋野 修一  独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (90360560)

研究分担者 小倉 淳  長浜バイオ大学, コンピュータバイオサイエンス学科, 准教授 (60465929)
キーワード熱水動物 / 海洋動物
研究概要

熱水適応動物固有の感覚受容細胞および感覚システムの構造を解析した。基本的に単極型の感覚細胞であること、一般にストレス応答に関与するミトコンドリアおよび硫黄粒子と考えられる顆粒に富み、その情報伝達部位である軸索はグリア細胞で多重に被包、支持されていること、高次の情報処理中枢に記憶と学習に関与する小型細胞が識別され、それらの細胞体自身にも防御構造が見られる点で特色を示した。これらの細胞構造は、熱水適応種の特に最も還元環境に適応した動物で確認された。これまで熱水適応動物において、ほとんどまったく化学応答性についての研究はなされてこなかったが、本研究では、酸および活性酸素にたいする高感度能が定量的に同定された。これは、貧酸素環境に棲息する種は感覚系がより単純化し、化学物質に対する感度特性が鈍い方向に進化すると想定されたが、行動実験は逆の結果を示した。熱水噴出近傍とその周辺域では海水の化学組成の変動が激しく変動することから、致死状態を避けるために、酸性および活性酸素などの酸化ストレス物質に対してより高感度能が要求されると考察された。また、今回日本近海に棲息する熱水および深海動物種の大規模な遺伝子配列情報の取得に初めて成功した。従来DNAの小規模配列情報しか提供されていなかったが、今回次世代シーケンサを用いて数十ギガ塩基配列レベルで網羅的に行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構造研究の面で適応的特徴を反映する構造を同定するという目的の主要部分は達成することができた。熱水動物固有の感覚受容構造の一端を解明した。それらの細胞構造は、熱水適応種の特に最も還元環境に適応した動物で確認された。またRNAシーケンスから、遺伝子の配列の取得、特異配列の同定、系統樹作製を行った。電気生理学的機器類を整備し、その生体解析を開始した。

今後の研究の推進方策

本年度ではさらに焦点を絞りこみ、研究の過程で明らかになった酸性物質に対する反応や、活性酸素と関連した酸化ストレスに対する高感度の刺激応答についてさらに検証するために比較解析を充実させる。さらに、受容体の遺伝子ファミリーの系統解析による進化および特化過程の予測、推定アミノ酸の比較解析から特異な置換部位の同定をより多くの遺伝子で解析を行う。単一受容体での機能解析系を立ちあげ、そのチャネル機能の同定を試みる実験系の確立を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Sensing extreme environment: the diverse chemical receptors identified by comprehensive RNAseq analysis of hydrothermal vent endemic animals

    • 著者名/発表者名
      Shigeno S., Ogura A., Tsuchida S., Fujikura K.
    • 学会等名
      5th International Symposium on Chemosynthesis-Based Ecosystems
    • 発表場所
      Victoria conference center, Victoria, Canada

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公開日: 2015-05-28  

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