翅を畳んだ静止時に上になる側の翅を「利き翅」と定義し、蛾の翅の利き翅を未展翅標本から調べた結果、種によって利き翅のあるものないものが認められた。これらのうち、左前翅が利き翅と思われたチャノコカクモンハマキを飼育して、2年目に実験した結果、飛翔後静止姿勢に入ったときには、どの個体も必ず決まった側の前翅を上にしており、利き翅の存在が示されたが、左右の比率は同腹由来兄弟内で1:1であった。さらに前翅と後翅の利き翅の関係を見たところ一致する個体が80%であった。一致しなかった20%の個体については翅の痛みが認められたことから、天敵に襲われるなどの事故の場合に左右逆の翅を閉じることがあると考えられた。
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