研究課題/領域番号 |
24657064
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
高務 淳 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 主任研究員 (80399378)
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研究分担者 |
仲井 まどか 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60302907)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 進化 / ウイルス |
研究概要 |
ウイルス学的、生態学的、進化学的に興味深いヴィロファージ(Virophage:ウイルスに 寄生するウイルス)に似た構造と配列を持つDNA 断片を、昆虫ポックスウイルスのゲノム外 DNA 断片として発見した。このゲノム外DNA 断片がvirophage である可能性を検討する。 本年度は、ゲノム外DNA断片を検出する手法を開発すること、組織学的に解析し、本断片の存在場所と存在様式((ウイルス粒子として存在するのか、粒子という形状を持たないのか)を明らかにすることを目的とした。 既に得ているゲノム外DNA断片のDNA配列から特異的なPCR用プライマーを設計した。また、特異的プローブを作成し、サザンハイブリダイゼーションを行い、電気泳動で期待されるサイズに本断片が昆虫ポックスウイルスゲノムと完全に分離された状態で検出されることを確認した。 昆虫ポックスウイルスは、包埋体と呼ばれるタンパク性のカプセルを形成し、多数のウイルス粒子が包埋体に包まれる構造をしている。そこで、精製したウイルス粒子からDNAを精製した場合と、包埋体から直接精製した場合とで、ハイブリダイゼーションのシグナル強度を比較した結果、双方で差がなかった。また、精製したウイルス粒子を電子顕微鏡で観察したところ、昆虫ポックスウイルスのウイルス粒子以外の粒子は観察されなかった。これらのことから、本断片は、ウイルス粒子としての形状を持たず、昆虫ポックスウイルスのウイルス粒子内に存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的は、組織学的な解析を行い、ゲノム外DNA断片の存在場所と存在様式、すなわち、ウイルス粒子として存在するのか、粒子という形状を持たないのかを明らかにすることであったが、昆虫ポックスウイルスのウイルス粒子内に存在すること、また、ウイルス粒子としての形状をもたないことが強く示唆される結果を得ており、ほぼ計画通りに進行していると判断されるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、研究計画に沿って推進していく方針であり、ゲノム外DNA断片の複製と昆虫ポックスウイルスの複製について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の物品購入時に予期しない値引きがあり、次年度使用額36円が生じたが、研究は概ね順調に進行しており、物品費として適切に使用する予定である
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