研究課題/領域番号 |
24657071
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 信久 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 教授 (70212321)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高圧結晶構造解析 / ダイヤモンドアンビルセル |
研究概要 |
これまで申請者が実施して来ているダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた蛋白質の数百MPaの高圧下でのX線結晶構造解析は室温での測定であるため,放射光の高輝度X線の照射によって結晶が放射線損傷を受ける.これを避けて高圧状態の構造解析を実施することを目指して,高圧下で凍結して高圧構造をトラップし,そのまま低温で測定を可能にする方法を開発している.高圧状態の蛋白質構造をそのままトラップすることを可能とするためには圧力を印加した状態のままで結晶を凍結する方法が必要である.交付決定された予算を検討した結果,申請書で提案した2つの方法のうちマイクロチューブを利用する凍結方法の開発は無理と分かったので,DAC型の装置の開発研究に絞ることとした.初年度である平成24年度は結晶を保持するクライオピンとガスケットを共通化し,クライオピンの位置を調整するためのXYZステージを液体窒素外に置く構造を設計した.しかし,液体窒素下で時間を要するとステージが凍り付いて動かなくなってしまったため,断熱材を挿入する構造に改造した.そのためにステージが大型化したため,蛍光測圧器との整合性に問題が生じている.凍結した結晶はクライオピンとガスケットを共通化出来たため,DACを開放すると,結晶周辺の圧媒体を置換しておかなくても,結晶化母液(水溶液)でも,そのまま結晶を容易に取り出せることが出来ることは確認できた.そのまま凍結状態でX線を照射することが出来る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ステージの製作と凍結対策が遅れ,実際の高圧凍結実験による評価が進んでいないため.
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今後の研究の推進方策 |
ステージの断熱に加えてヒーターによる保温を検討し,長期間液体窒素中に保持してもDAC部の開放が容易に行えるようにするとともに,蛍光測圧器との整合性により工夫をし,実際の蛋白質結晶の高圧凍結実験を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に試作した DAC型凍結トラップ装置のガスケットを保持するクライオピンのXYZステージ部の改良を進め,それを用いて,実際の蛋白質結晶を高圧下凍結トラップし構造解析して評価する.その際,高圧下の構造が凍結後も保持されているかどうかは,我々がこれまで室温での高圧構造解析で蓄積しているShewanella属の3-イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ (IPMDH) 等を用いる.また,塩や有機系など出来るだけ多様な結晶化条件で結晶化するいくつかの標準的な蛋白質を用いて,本方法が一般的に可能かどうかも広くテストを行う.
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