研究課題
真核生物では異常ミトコンドリアをマイトファジーで選択的に除去する仕組みがあり,哺乳動物ではパーキンソン病の原因遺伝子産物のParkin とPINK1がこの仕組みに関わる。すなわちミトコンドリアが正常に機能している場合はPINK1はサイトゾルで分解され,Parkinはサイトゾルに局在するが,ミトコンドリア機能が低下して膜電位が減少すると,PINK1はミトコンドリア外膜に局在し,Parkinがミトコンドリアにリクルートされる。出芽酵母にはParkin-PINK1が存在しないので,哺乳動物Parkin-PINK1を人為的に発現させることにより,PINK1によるParkinのミトコンドリアへのリクルート,リン酸化,ユビキチン化等に必要な最小限のシステムを解明できると考えた。出芽酵母で恒常的にPINK1をミトコンドリア外膜に局在化させた(Om45との融合タンパク質として発現させた)ところ,膜電位の有無と関係なく,サイトゾルに発現したPink1がミトコンドリアにリクルートされた。このリクルートにはPINK1のキナーゼ活性が必要であった。さらにミトコンドリアにリクルートされたParkinの一部は,哺乳動物細胞の場合と同様,PINK1依存的にリン酸化とユビキチン化が起こることを確認した。したがって,出芽酵母内でPINK1とParkinの機能の一部を再構成することに成功した。さらに,PINK1とParkinの共発現は,哺乳動物細胞におけるマイトファジーが起こるかわりに,酵母の増殖阻害を引き起こし,特に呼吸培地での増殖阻害はPINK1のキナーゼ活性に依存していた。このことから,Parkin-PINK1を人為的に発現させた出芽酵母はParkin-PINK1系の機能解析(Parkin-PINK1以外に必要な因子の検索を行うなど)験を行うことができるよい実験系になると考えられる。
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Nature
巻: (in press)
10.1038/nature13392