研究課題/領域番号 |
24657074
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
児嶋 長次郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (50333563)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | NMR / 構造生物学 / フロリゲン |
研究概要 |
平成24年度は、(1)高感度13C直接観測法の開発と、(2)13C帰属法、13Cの核間距離情報取得法、構造計算法の開発を行い、(3)フロリゲン受容体の構造解析に取り組んだ。 (1)高感度13C直接観測法の開発: 申請者は固体NMRで提案された1回の測定で2回データを取り込むDouble-acqu isition法と呼ばれる概念(Fukuchi et al. J Magn Reson 2008)を一般化し、溶液固体を問わず、ほぼ全ての多次元NMR測定において信号強度を2~4倍増強させる手法の開発に成功しつつある。本研究ではこれを13C直接観測と組み合わせ、信号強度を2~4倍に増強した。 (2)13C帰属法、13Cの核間距離情報取得法、構造解析法の開発: 蛋白質研究所の950 MHz NMR装置を用いて(1)で開発した各種Double-acquisition 13C直接観測法を測定し、蛋白質の主鎖及び側鎖の13Cの帰属に着手した。13Cの核間距離を固体NMRで標準的に用いられている1H核間の双極子相互作用を介した13C-13C相関法から得る手法の開発に着手した。立体構造解析では残余双極子相互作用(RDC)、常磁性緩和効果(PRE)、13C化学シフト値などを用い、連携研究者の藤原らが開発した固体NMRの構造解析法として成功を収めつつあるレプリカ交換分子動力学法で計算した立体構造アンサンブルから実験条件を満足する構造を選択する手法(Ikeda et al. J Phys Chem 2011)を溶液NMR用に改変して用いる準備を進めた。 (3)フロリゲン受容体の構造解析: (2)の13C直接観測による構造解析法を用い、フロリゲン受容体の立体構造決定に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、(1)高感度13C直接観測法の開発と、(2)13C帰属法、13Cの核間距離情報取得法、構造計算法の開発を行い、(3)フロリゲン受容体の構造解析に取り組んだ。課題(1)の高感度13C直接観測法の開発は、当初の予定通り、ほぼ完了している。(2)の13C帰属法と13Cの核間距離情報取得法の開発も順調に進展しており、構造計算法の開発では当初の予想を大幅に上回る成果が得られている。(3)のフロリゲン受容体の構造解析では、やや遅れがでているものの、全体としては、おおむね順調に研究が進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展していることから、今後も当初計画どおりに研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費は、平成24年度に実施予定であったアミノ酸選択標識がフロリゲン受容体の構造解析の遅れにより実施できなかったために生じた。アミノ酸選択標識のための安定同位体標識アミノ酸は極めて高価である。当該研究費は主に安定同位体標識アミノ酸の購入に充てる。
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