研究課題
本申請研究では,巨大タンパク質・ヒドロゲナーゼのNi-Fe 活性部位における水素活性化の反応中間体を,中性子結晶解析法により直接観察することを主目的とした.また,水素を分解した後の産物・プロトンのタンパク質中の移動経路の解明を目指してきた.平成25年度は,日本原子力研究開発機構の原子炉が稼働されなかったため,中性回折実験を行うことはできなかった.平成25年度は,下記の3点について研究を遂行した.1.重水溶液中での [NiFe]ヒドロゲナーゼの結晶化条件の改良.平成24年度に,沈殿剤として利用していた2-methyl-2,4-pentanediol(MPD)が酸化されると4-hydroxy-4-methyl-2-pentanone(HMPO)が生成され,それがヒドロゲナーゼを変性させることなどを見出していた.平成25年度は,HMPOを利用した場合には,結晶化母液のpHが設定値よりも変動することが酵素の結晶化に大きく影響することを確認した.2.酸素耐性膜結合型 [NiFe]ヒドロゲナーゼの重水緩衝溶液中での結晶化.水素酸化細菌のもつ酸素耐性ヒドロゲナーゼについて,重水溶液中での初期スクリーニングを行ったが,現時点では,良質の結晶は得られていない.3.巨大単結晶の凍結条件のスクリーニングおよび結晶還元条件の確立. これまでの研究では,酵素にCO を結合させることで,活性部位に基質・水素をトラップできることが判明している.この方法で基質の反応水素を活性部位に固定することを目的に,回折実験を80 Kの低温で行う条件検討を引き続き行った.その結果,MPDを結晶化沈殿剤として利用する場合に限って,大きなダメージを与えることなく巨大結晶を凍結できることがわかった.実験室X線装置を用いて1.3 A分解能のX線回折像を得ている.
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