研究概要 |
オートファジーとは、飢餓に応答してオートファゴソームと呼ばれるオルガネラが細胞質に形成されることにより被分解物を包み込み、細胞内分解コンパートメントである液胞/リソソームと融合した後に分解されるという現象である。申請者らの研究により、オートファジーによる選択的タンパク質分解(選択的オートファジー)が出芽酵母のゲノムの安定化に寄与していることが明らかとなった(Suzuki, K. Dev. Cell, 2011)。また、哺乳動物ではオートファジーの破綻が腫瘍形成を引き起こすことが示された(Takamura, A. Genes Dev., 2011)。腫瘍形成の主原因は未だ明らかになっていないが、オートファジー不能によるゲノムの不安定性がその一原因であると考えることもできるだろう。このような背景から、選択的オートファジーの積荷タンパク質を同定することは極めて意義深い。 本研究提案では、選択的オートファジーに重要でなおかつ真核生物に広く保存されているAtg8-family interacting motif(AIM)(Noda, NN. FEBS Lett., 2009)に着目する。本年度は、ATMの中でもリン酸化によって活性化されることが予想されているAtg34に注目した分子生物学的な解析を行い、AIM予想プログラムの基盤になる情報を得ることを優先して行った。種々のAtg34変異体を作成してその活性を確認し、予想プログラムの改良を行っている。
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