本研究は、選択的オートファジーの積荷タンパク質をin silico解析により選抜し、候補タンパク質を出芽酵母の細胞を用いて検証しつつ精度の高い選択的積荷の予測アルゴリズムを構築することを目的とした。 オートファジーとは、飢餓に応答してオートファゴソームと呼ばれるオルガネラが細胞質に形成されることにより被分解物を包み込み、細胞内分解コンパートメントである液胞/リソソームと融合した後に分解されるという現象である。現バージョンのプログラムによると、出芽酵母のゲノム中には総計数百にも上るAIM候補が予測された(未発表データ)。申請者の研究室では、出芽酵母の全てのタンパク質のC末端にGFPを融合させた株のコレクションを入手したので、今後はオートファジーを顕著に誘導することのできる栄養飢餓を外部刺激として、候補タンパク質がオートファジーにより液胞に運ばれるかどうかを確認することを計画している。確認には二通りの方法を検討している。ひとつは蛍光顕微鏡を用いた方法であり、栄養飢餓に応じて候補タンパク質が液胞に輸送され、液胞がGFPで染色されるかどうかを確認する。もうひとつは生化学的方法である。栄養飢餓に応じて液胞内に輸送された選択的積荷は液胞内の加水分解酵素により分解される。出芽酵母の液胞中ではGFPが分解されにくく比較的安定に存在できるので、抗GFP抗体を用いたウェスタンブロットにより分解を免れたGFPを検出可能である。これらの手法はAtg19やAtg34の輸送解析に使用された実績があり信頼性が高い。
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