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2012 年度 実施状況報告書

新しい機能を持つ翻訳途上鎖の探求

研究課題

研究課題/領域番号 24657095
研究機関京都産業大学

研究代表者

千葉 志信  京都産業大学, 公私立大学の部局等, 助教 (20523517)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード翻訳伸長アレスト
研究概要

新規機能を持つ翻訳途上鎖の構築を目的とし、枯草菌MifMのC末端の翻訳アレストモチーフを維持したまま、そのN末端を様々な形に改変した。例えば、分泌シグナル配列や、膜貫通シグナルなどを融合したような変異MifMを構築した。本来MifMは、枯草菌細胞中で、蛋白質膜組込を担うYidCの活性をモニターするが、構築した変異MifMのうち一部のものは、YidC依存的膜組込経路とは異なる蛋白質局在化経路をモニターするものへとその性質を変化させたことが示唆された。このことは、MifMのC末端アレストモチーフとN末端のアレスト解除シグナルを組み合わせる事で、YidC膜組込経路モニタリング以外の、新規の機能を持つ翻訳途上鎖を構築することが出来ることを示唆している。このことを受け、蛋白質局在化以外の生物学的プロセスをモニターする機能的翻訳途上鎖のデザインも同時に進行中である。例えば、エネルギー依存的蛋白質分解を行うプロテアーゼの認識配列をMifMのN末端に融合させたものなどを構築した、しかしながら、現在の所、これらのプロテアーゼの活性をモニターするような融合遺伝子は得られておらず、この場合には、さらなる最適化が必要であるものと思われる。
MifMだけでなく、翻訳アレストモチーフを持つ大腸菌SecMの改変も視野に入れており、SecMの翻訳アレスト状態に呼応してlacZ遺伝子が発現するようなプラスミドを構築中である。期待通り、SecMの翻訳アレストが起こる条件で、lacZ遺伝子の誘導が観察されたが、その程度は弱く、プラスミドのコピー数を低下させるなど、さらなる改変が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規機能を持つ翻訳途上鎖の構築のため、枯草菌MifMの改変を行ったところ、本来の機能であるYidC依存的膜組込経路のモニタリング以外の働きをしている可能性のある融合翻訳途上鎖が得られた。このことは、枯草菌MifMの改変により新たな機能的翻訳途上鎖が構築可能であることを示唆しており、本研究のアプローチが有望であるという希望が得られた。特に、蛋白質局在化の経路に関しては、良い結果が得られつつある。
一方、蛋白質局在化以外の機能を持つようなものに関しては、さらなる最適化が必要であり、また、MifMのみならず、SecMの利用も必要かも知れない。

今後の研究の推進方策

枯草菌MifMのN末端改変により、新規機能を持つ翻訳アレスト因子の構築を続行する。また、翻訳アレストモチーフの固有の性質が、翻訳アレスト解除に様々な形で影響する可能性を考え、大腸菌SecMを利用し、同様のアプローチを行う。
一方、新規翻訳アレスト因子を天然のプールから検索するために、ペプチジルtRNAの精製や、ペプチジルtRNAを保持できる電気泳動を用いたスクリーニングを行う。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Multi-site ribosomal stalling: A unique mode of regulatory nascent chain action revealed for MifM2012

    • 著者名/発表者名
      千葉志信、伊藤維昭
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: 47 ページ: 863-872

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2012.06.034

    • 査読あり
  • [学会発表] 枯草菌MifMによるユニークな翻訳アレスト様式を利用した蛋白質膜組込のモニタリング2013

    • 著者名/発表者名
      千葉志信、伊藤維昭
    • 学会等名
      Ribosome meeting
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130328-29
  • [学会発表] 枯草菌膜組込モニターMifMのユニークな翻 訳アレスト機構2012

    • 著者名/発表者名
      千葉志信、伊藤維昭
    • 学会等名
      グラム陽性菌ゲノム機能会議
    • 発表場所
      焼津
    • 年月日
      20120831-20120901
  • [学会発表] 合成途上鎖の働きと運命2012

    • 著者名/発表者名
      千葉志信、伊藤維昭
    • 学会等名
      第12回蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120620-22

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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