研究課題
プロテアソームはATP依存性の巨大タンパク質分解酵素であり、ユビキチン化されたタンパク質を分解することで様々な生命現象を制御している。我々は、プロテアソームの細胞内局在に影響を与える因子を、出芽酵母非必須遺伝子ノックアウトライブラリーを用いて探索したところ、ミトコンドリア機能欠損株においてプロテアソームが細胞質に顆粒構造を形成することを見出した。平成24年度までに、ミトコンドリアの機能低下が細胞内ATPレベルの低下を引き起こし、その結果、プロテアソームの顆粒形成が誘導されることを明らかにしている。平成25年度は、以下の解析を実施した(1)プロテアソームサブユニットGFPノックインヒト培養細胞を用いた解析:TALEN法によるゲノム編集によりGFPタグをプロテアソームサブユニットにノックインした細胞を作製し、様々な薬剤刺激によりプロテアソーム顆粒が形成されるか否かを解析した。その結果、アザイドと2-デオキシグルコースによりATPレベルを低下させた時に、プロテアソームの顆粒状構造物が確認された。次に蛍光相関分光法によりよって、プロテアソーム動態を解析したところ、ATPレベルの低下直後よりプロテアソームの拡散が遅滞することが分かった。よって、プロテアソームの顆粒形成は進化的にも保存された現象であり、ATPレベルの低下が直接プロテアソーム動態を制御する可能性が示唆された。(2)試験管内におけるプロテアソーム顆粒の再構築:GFP融合プロテアソームを精製し、ATP濃度などバッファーの組成を変化させることで顆粒形成が起こるか蛍光顕微鏡により観察したところ、透析により緩衝液中のATPを除くことで、プロテアソームがファイバー状に凝集することを見出した。今後、電子顕微鏡や高速AFMにより、凝集したプロテアソームがどのような構造をもつか解析する。
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