本研究は振動コヒーレンス分光法を用いて、ヘモグロビン(Hb)のヘムの揺らぎと酸素親和性との相関を明らかにすることを目的とした。heterotropicエフェクターにより酸素親和性を変えた5種のdeoxyHbを用いて、低振動コヒーレンス(~200 cm-1以下)の位相緩和時間(振動バンド幅)を比較した結果、ヘムの揺らぎは酸素親和性と相関がないことが明らかとなった。一方、Fe-His伸縮振動の振動数が酸素親和性と相関があることが確認された。したがって本研究は、Perutzモデルを支持した。ただし、本研究で観測対象でなかったO2チャネルの揺らぎと酸素親和性との相関は、今後検証されるべき課題であろう。
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