研究課題/領域番号 |
24657112
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
尾崎 裕一 独立行政法人理化学研究所, 細胞シグナル動態研究グループ, 研究員 (70345114)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオイメージング |
研究概要 |
申請者の発案した蛍光多重染色サンプルのスペクトルとその退色時系列から、各々の蛍光色素でラベルされた成分を各色素のリファレンススペクトルを用いずに分離するブラインドアンミキシングアルゴリズムの開発及び検証を行った。この結果、画像に多少のノイズが含まれていたばあいにも、分離可能な色数は減少するものの分離可能であることをしめした。また、上記手法をライブイメージングに適用可能な程度に高速化する手法を提案した。具体的には、観察対象の細胞については通常のスペクトルイメージングを行い、観察対象の視野の外にある細胞を用いて観察前あるいは後にスペクトル・退色時系列を測定する。この視野外の細胞から得られた蛍光スペクトルをもとに、観察対象の細胞についてリニアアンミキシングを用いて各蛍光色素の成分を分離する。この手法により、観察対象の細胞への励起光照射を最小限に抑えつつ、同一サンプル内からリニアアンミキシングに必要なリファレンススペクトルを得ることができる。これらの結果は特許出願した(特願2012‐84643)。 共焦点顕微鏡をベースに分光検出系を構築を開始した。当初の予定通り、光学系の構成は通常のレーザー走査顕微鏡の出力ポートにイメージング分光器を付加したものとし、蛍光分光の検出には高速CMOSラインセンサを採用した。この結果、ハードウェア的には毎秒2フレーム程度の比較的高速なシステムを構築することができた。 さらに、本顕微鏡システムを制御し、分光画像の取得・解析を行うソフトウェアの開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成24年度中に撮影システムを完成し、細胞サンプルを用いた検証に移る予定であったが、ソフトウェア開発が難航したため達成できていない。 蛍光画像の分離法および撮影システムのスペック上、ライブイメージングに適用できる可能性が高まったため、顕微鏡の制御・画像取得・画像解析を行うソフトウェアの開発にあたってはライブイメージングに用いることを念頭に設計を行った。この結果、想定よりも高度なプログラミング技術的を要求され、開発が難航したためである。
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今後の研究の推進方策 |
撮影システムを早期に完成し、細胞サンプルを用いた免疫蛍光抗体法による多重染色の計測を開始する。蛍光画像の分離結果の解釈を容易にするため、手法の検証の目的にはオルガネラ特異的抗体を主に用い、実用上の同時染色数の上限を探る。研究が進展し解析手法が成熟した後には細胞極性形成、細胞遊走関連分子や細胞骨格・接着関連分子を標的とする予定である。直接蛍光抗体法を用いた18重染色はフローサイトメトリー分野で既に実用化されており、技術的困難は比較的小さいと考えられる。 固定細胞を用いて十分に技術が成熟した後、蛍光タンパクを用いたイメージングを開始する。前述のとおり、同一サンプル内のいくつかの細胞を用いて退色時系列を測定し、各蛍光タンパクの蛍光スペクトルを推定する。その後、細胞を変えて必要な時間間隔で通常のスペクトルイメージングを行い、先に取得した各蛍光タンパクのスペクトルを用いてリニアアンミキシングを行う。この方法では相当にしたがって自家蛍光成分を含む10色程度の同時観察は可能であると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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