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2013 年度 実施状況報告書

新しいtRNA様低分子RNAの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24657114
研究機関弘前大学

研究代表者

武藤 あきら  弘前大学, 農学生命科学部, 研究員 (80034635)

研究分担者 牛田 千里  弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (50250593)
姫野 俵太  弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)
キーワードtRNA / mRNA / translation / transcription / protein / 大腸菌 / O157 / 遺伝子発現
研究概要

ゲノム配列の解析から大腸菌すべての種に保存されているtRNA様の配列を発見した。この配列は、tRNAのクローバーモデルの上半分(CCA-3’末端、アミノ酸受容ステム, Dアーム, Tアーム)とそっくりの二次構造を取りうるが、中央部分はtRNAの下半分(アンチコドンアームとバリアブルアーム)はtRNAと大きく異なる。ノーザン解析 の結果、この配列がRNAとして細胞内で発現していることを確認したので、txRNAと名付けて、解析を開始した。本研究は、分子遺伝学的手法ならびに生化学的手法を使ってその構造と機能を解析することを通して、細胞内での働きと、それに関与する生体内反応と分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。
昨年度の解析から、このRNAがtRNA様の構造自体が機能単位ではなく、mRNAの一部であるという予想外のことが明らかになった。実際、txRNA配列を含む転写産物が、60アミノ酸からなるペプチドをコードしており、それが翻訳されうることを、LacZ-fusion実験等で明らかにした。本年度はこの研究結果の流れにそって、その翻訳産物の検出と、遺伝子機能の解明を目的とした研究を行った。In vivoとin vitro系を用いた遺伝子産物の検出は未だ成功していないが、このペプチドの抗体を作成したので、western blottingによる産物の検出を行っている。一方この遺伝子の欠失株を種々の培養条件で野生株との増殖を比較したところ、高pHでの増殖に必要であることが示唆された。この表現型の解析を用いて、遺伝子機能の解明につなげたい。現在、synthetic lethal株の単離を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予想とは異なる展開となったが、新しい方針での解析を進め、データを積み重ねており、興味ある進展が予想される。特に高いpH条件下での増殖に関与することが明らかになり、表現系の指標として使用できるので、この遺伝子の機能を知る手がかりとなることが期待できる。

今後の研究の推進方策

1. tRNA様配列を含む転写産物(RNA)がmRNAであることの最終証明として、その産物をin vitroとin vivoの系を用いて合成し、western-blotting法で検出すること。
2. この遺伝子の生理的機能を様々な生理的条件下での培養。また欠損株や条件変異株を用いて明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

本年度の実験計画に多少変更があり、予定物品の購入の延期や学会出席等への支出がなくなったため。
次年度は延期した購入物品、学会発表の予定があり、そのための支出が見込まれる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanism of trans-translation revealed by in vitro studies.2014

    • 著者名/発表者名
      Himeno, H., Kurita, D. & Muto, A.
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 5 ページ: 65, 1-11

    • DOI

      10.3389/fmicb.2014.00065

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impairment of ribosome maturation or function confers salt resistance on Escherichia coli cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Hase, Y., Tarusawa, T., Muto, A. & Himeno, H.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 8(5) ページ: e65747

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0065747

    • 査読あり
  • [学会発表] RsgA(リボソーム小サブユニット依存GTP加水分解酵素)の機能およびリボソームとの相互作用2013

    • 著者名/発表者名
      後藤史門、長谷要一、菊地岳志、栗田大輔、武藤昱、竹本千重、横山茂之、Sean R. Connell、Paola Fucini、姫野俵太
    • 学会等名
      第15回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      松山
    • 年月日
      20130724-20130726
  • [学会発表] Recognition of mRNA length on the ribosome by tmRNA and SmpB.2013

    • 著者名/発表者名
      Kurita, D., Miller, M.R., Muto, A., Buskirk, A.R. & Himeno, H.
    • 学会等名
      Ribosomes Conference 2013
    • 発表場所
      Napa Valley, California
    • 年月日
      20130709-20130712
  • [学会発表] GTPase RsgAの機能と大腸菌リボソーム生合成の過程

    • 著者名/発表者名
      後藤史門、武藤あきら、姫野俵太
    • 学会等名
      第10回大腸菌研究会
    • 発表場所
      修善寺
  • [学会発表] tmRNA:non-coding RNAとcoding RNAのハイブリッド

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太、栗田大輔、武藤昱
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
  • [図書] 生命分子を統合するRNAーその秘められた役割と制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      姫野俵太、栗田大輔、武藤昱
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2015-05-28  

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