RNAサイレンシング機構を担うRNA-induced silencing complex (RISC) やRISC-loading complex (RLC) といった複合体の解析が進み,構成因子としてDicer,Argonaute (Ago),Hsc70/Hsp90などが同定された.しかし,これらの因子がどのように会合して機能的な複合体を形成するか,その順序と構造変化の詳細については未知である.本研究課題では,この謎を明らかにすべく,1分子イメージングにより,細胞内でのRISC形成における構造変化と相互作用を解析し,RISC形成の分子ダイナミクスを統合的に理解することを目的としている. 平成26年度は,主に蛍光標識Ago2タンパク質の調製と1分子観察系の確立を目指した.1分子イメージングに適するよう設計したHaloタグ融合ショウジョウバエAgo2タンパク質と,蛍光標識とビオチンの両方が付いたリガンドを反応させ,タンパク質を蛍光・ビオチン標識した.その後に,基板上に固定化し,別の蛍光色素を用いて標識したRNA2本鎖を加えて,RISC形成反応を行った.さらに,植物培養細胞由来無細胞タンパク質発現系を用いて,融合タグ付きAgo2タンパク質を調製し,同様に1分子観察を行った.その結果,Ago2のダイナミクスを捉える1分子観察系を確立するために必要となるデータを得ることができた.
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