研究課題
うま味受容体T1R1・T1R3は、ヘテロダイマーを形成し機能しているGタンパク質共役型受容体(GPCRs)の1つである。ヘテロダイマーを形成するGPCRsとしては、甘味受容体T1R2/T1R3とGABAB受容体が知られており、T1R2/T1R3は細胞内ドメイン、GABAB受容体は細胞外ドメインで相互作用していることが明らかにされている。しかしながら、T1R1・T1R3の相互作用領域は明らかとなっていない。哺乳類のうま味受容体T1R1・T1R3には、7つの膜貫通ドメイン(TM1~TM7)が存在し、TM1ドメインには、ロイシン繰り返し構造 (polyL;またはHPAA)が存在する。ヒトの多くのタンパク質にはHPAAsが含まれており、いくつかの遺伝子疾患は、タンパク質中のHPAAが伸長することで引き起こされることが報告されている。これまでに、HPAAs同士の親和性を酵母ツーハイブリット法で解析した結果、polyL同士の親和性が高いということが明らかとなっている。また本研究室の中山は、polyL(8アミノ酸残基、または28アミノ酸残基)を持つ融合タンパク質がHeLa細胞において発現させると、そのpolyL同士に長さ依存的な親和性があることを明らかにした。本研究では、polyL以外にもT1R1・T1R3における相互作用領域が存在するかどうかを、各TMドメイン間で解析することとし、解析方法としてSplit GFP法を用いた。T1R1のTM1~TM7、T1R3のTM1~TM7までを組み合わせて共発現させることでその相互作用を定量的に解析し、相互作用の存在を確認した。今後、相互作用に強く関与しているアミノ酸残基を決定していき、これらが味覚受容にどのように関与しているかを明らかにしていく。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
日本味と匂学会誌
巻: 21 ページ: 293-296
巻: 21 ページ: 335-338