研究課題
我々は、染色体の凝縮異常が誘導する二核四倍体細胞(がん化に向かう危険な細胞とされる)が、翻訳伸長因子eEF1A1 (EF-1α)の発現抑制による非アポトーシス細胞死で除去されることを見いだしてきた。この細胞死を誘導する系としてチャイニーズハムスター由来CHO細胞を用い、外来性CREBを活性化させる系(CREB-ER発現細胞を4OHT処理する系)で構築していたが、研究を進めるためには遺伝子やその発現の解析が進んでいるヒトやマウスの細胞を用いることが必要であると考え、マウスNIH3T3細胞、マウスBalb3T3細胞、ヒトU2OS細胞で同じ細胞死を誘導する系を確立した。これらの細胞では、染色体の凝縮異常が誘導する二核四倍体細胞(がん化に向かう危険な細胞とされる)を誘導することが可能であり、翻訳伸長因子eEF1A1 (EF-1α)の発現抑制による非アポトーシス細胞死で除去されることを確認した。また、二核四倍体細胞においてはeEF1A1 mRNAがP body (Processing body) に集積しeEF1A1の発現抑制を誘導するが、この集積を可視化することによって細胞死を検出する方法の開発を進めた。具体的には、eEF1A1 mRNAのP bodyへの移行を支配する配列と強固なRNA結合タンパク質L7Aeの結合配列の両方を有するmRNA、L7Aeとsplit GFP (N末側)を融合した遺伝子と、P body構成タンパク質にsplit GFP (C末側)をつなげた遺伝子を、CREB-ERを発現させたCHO細胞やマウス3T3細胞に発現させることを試みている。現時点では、各遺伝子のクローニング、適度な量の遺伝子発現を誘導するプロモーターの確定を行っている。
3: やや遅れている
ヒトやマウスの細胞で新規細胞死を誘導する系を確立することに成功したので、この点では順調に進展しているが、これらの細胞を用いた細胞死誘導の分子機構解析の開始が遅れている。平成25年度早々に開始し、結果を得たい。また、この細胞死の可視化を実現する系の構築においては、各種cDNAのクローニングや発現ベクターの選別等は終了したが、実際に機能する事典までは進んでいない。この系においても、平成25年度早々に実現させたい。
染色体の凝縮異常が誘導する二核四倍体細胞(がん化に向かう危険な細胞とされる)が、翻訳伸長因子eEF1A1 (EF-1α)の発現抑制による新しい非アポトーシス細胞死で除去されことをる見いだしている。この細胞死の原因となるeEF1A1の発現抑制がmRNAの5’UTR配列特異的なP bodyへの移行に媒介されるので、そのmRNAの5’UTR領域特異的に結合する因子を解明し、その細胞死への影響を明かにする。また、このeEF1A1 mRNAのP bodyへの移行をsplit GFPシステムを用いて検出する方法を確立し、この細胞死がin vitroで増殖している細胞の一部に恒常的に誘導されているかを解明する。
基本的には、研究試薬、抗体、細胞培養用培地・器具などの購入に使用するため物品費として使用する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 備考 (2件)
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http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/Fas/Home_j.htm
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