研究課題
本研究は、核に局在する代謝酵素について、細胞内局在の観点からその生理的意義を明らかにすることを目的とした。私たちのこれまでの研究から、代謝酵素transaldolase は importin α5によって 核へと運ばれることが分かっている。本年度は transaldolaseの核局在の重要性を明らかにするため、内在性transaldolaseをsiRNA ノックダウンした細胞に、核に局在する野生型、または細胞質に局在する変異型のGFP-transaldolaseを過剰発現させサンプルとし、HPLC/IP/MS 分析を行った。その結果、細胞質に transaldolase を発現させることが、ペントースリン酸経路以外の代謝で生成される代謝物の存在量に影響を与えることがわかった。ジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP) のサンプル内存在量は、siRNAによる内在性 transaldolase のノックダウンや、核に局在する野生型transaldolase の過剰発現では影響を受けないが、細胞質に局在する変異型transaldolase の過剰発現により減少することが分かった。また、3-ホスホグリセリン酸 (3PGA)は内在性 transaldolase が発現抑制されることで蓄積するが、transaldolase を核に局在させることで、その蓄積は解消された。さらに、transaldolase を細胞質に局在させることで、3PGA の存在量はより減少することが示された。以上の結果から、ペントースリン酸経路で働く transaldolaseは、その細胞内局在依存的に他代謝経路に異なる影響を与えることが示唆された。
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