研究課題
ペルオキシソーム膜の形成(de novo合成)および脂肪滴の形成におけるMAM(mitochondria- associated membrane:小胞体のサブドメイン)の役割を解明することを目的として研究を進め、本年度は以下の成果を得た。1.Syntaxin17(Syn17)はMAMに存在するSNAREであるが、その発現抑制によって脂肪滴形成(HeLa細胞にオレイン酸を添加)は抑制される。同様の抑制が、MAMの構築を司るPACS2の発現抑制によっても起こったが、MAMとミトコンドリアの連携(繋留)を司るmitofusin2の発現抑制では脂肪滴形成の抑制はなかった。MAM機能は、低分子量GTPase であるRab32によっても調節されていることが知られているが、Rab32の発現を抑制すると脂肪滴の成長が抑制されて小さな脂肪滴が蓄積した。これらの結果は、脂肪滴形成にはMAMが関与するが、MAM-ミトコンドリアの連携は関係しないことを示唆している。2.マウス3T3-L1細胞は脂肪細胞へ分化することが知られているが、分化に伴いSyn17の発現量が5倍程度上昇し、またSyn17の発現を抑制すると脂肪細胞への分化が抑制された。3.Sec16Bの発現抑制は、ペルオキシソーム膜タンパク質(Pex16およびPex3)のペルオキシソームへの輸送を阻害し、また脂肪滴形成を誘導するが、すべてのペルオキシソーム膜タンパク質の輸送が阻害されるわけではなく、また細胞種によっては脂肪滴形成を阻害することが判明した。
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