細胞集団的解析 “populational analysis”が主流であるエピジェネティクス研究領域に、細胞個別的解析“single cell imaging analysis”を導入することを目標に、プローブ開発およびイメージングシステムのセットアップを行った。1.メチル化DNAへの親和性を変化させたプローブ作製を計画し、より細胞毒性の少ないプローブ候補を検討した。2.候補プローブの多色化を行い、性能評価の実験系を確立した。 以上より、候補MBDドメイン断片“A”は、メチル化DNAへの親和性が高いため、長期間の観察を行うと、細胞にダメージが現れる可能性を示唆するデータを得た。そのため、親和性を変化させたプローブ作製を開始した。さらに、DNAのメチル化・非メチル化状態を、プローブの局在変化に置き換える事をふまえ、プローブの改良を検討中である。 3.Fucci技術との併用を検討した。4.4次元イメージングを高解像度に行うための顕微鏡システムのセットアップを行った。 1年計画申請の本研究の大半は、プローブ性能評価および、改良・開発に費やした。また並行して、4次元イメージングを高解像度に行うための顕微鏡システムのセットアップを行った。宮脇研にあるFV1000 confocal imaging system に、マルチウェル・ステージトップCO2インキュベータおよび、生体観察に最適なシリコーン浸対物レンズを導入した。生命現象の一端を多角的に可視化する準備が整ったことになる。しかし、生命現象はエピジェネティクス変化のみならず、種々の現象が複雑にからみあって進行している。今後は、本研究を引き継ぐ形で、基盤(C)へと移行する。細胞の様々な反応を可視化するプローブを作製し、細胞周期(Fucci)やメチル化状態と絡めながら、生命現象を可視化・理解していくことを目的として鋭意研究をすすめていく。
|