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2013 年度 実績報告書

脂質ラフトの裏側を見る

研究課題

研究課題/領域番号 24657143
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

小林 俊秀  独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)

キーワード脂質ドメイン / 脂質の非対称性 / 脂質ラフト / 脂質プローブ / スフィンゴミエリン / ジアシルグリセロール / カベオレ / 電子顕微鏡
研究概要

腺維芽細胞と上皮細胞の比較から、脂質セカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロールの形質膜での膜を横切る運動(フリップフロップ)はスフィンゴミエリンによって制御されていることが明らかになった。この結果は形質膜外層にジアシルグリセロールのプールが存在すること、スフィンゴミエリンの分解に伴い脂質ラフトの裏側へのジアシルグリセロールの移行が起こり、ラフトでの情報伝達に関与していることを示唆している。
SDS-フリーズフラクチャーレプリカ法(SDS-FRL)は脂質二重層の外層と内層の脂質分布を解析できる数少ない方法の一つである。この方法では試料を液体窒素や液体エタンで急速凍結した後、脂質二重層を疎水性部分で割断する。試料は脂質の炭化水素部分を介してグリッドのプラチナ・カーボンに物理的に固定される。SDSによって非特異的にグリッドに吸着した残渣を除くことにより脂質二重層の内層、あるいは外層を露出した試料の調製が可能である。われわれはSDS-FRLと種々の脂質特異的タンパク質あるいはペプチドを併用して形質膜の内層と外層での脂質分布を詳細に解析した。その結果、核を持たない赤血球や血小板ではスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリンは形質膜の外層のみに存在し、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン/ホスファチジルイノシトールは内層に局在するのに対して、腺維芽細胞や好中球では形質膜内層にもスフィンゴミエリンのドメインが存在することが明らかになった。また脂質ラフトのひとつであるカベオレの外層にはスフィンゴミエリンのクラスターが存在し、内層のカベオレ周辺部にはホスファチジルエタノールアミンとホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸が存在するが、ホスファチジルセリン/ホスファチジルイノシトールは存在しないことが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Imaging local sphingomyelin-rich domains in the plasma membrane using specific probes and advanced microscopy2014

    • 著者名/発表者名
      Abe M, Kobayashi T.
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta

      巻: 1841 ページ: 720-726

    • DOI

      10.1016/j.bbalip.2013.07.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Binding of a pleurotolysin ortholog from Pleurotus eryngii to sphingomyelin and cholesterol-rich membrane domains2013

    • 著者名/発表者名
      Bhat HB, Kishimoto T, Abe M, Makino A, Inaba T, Murate M, Dohmae N, Kurahashi A, Nishibori K, Fujimori F, Greimel P, Ishitsuka R, Kobayashi T.
    • 雑誌名

      J Lipid Res

      巻: 54 ページ: 2933-2943

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2013.07.052

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sphingomyelin regulates the transbilayer movement of diacylglycerol in the plasma membrane of Madin-Darby canine kidney cells2013

    • 著者名/発表者名
      Ueda Y, Makino A, Murase-Tamada K, Sakai S, Inaba T, Hullin-Matsuda F, Kobayashi T.
    • 雑誌名

      FASEB J

      巻: 27 ページ: 3284-3297

    • DOI

      10.1096/fj.12-226548

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂質のイメージング2014

    • 著者名/発表者名
      小林俊秀
    • 学会等名
      第1回JFAS講演会
    • 発表場所
      秋葉原
    • 年月日
      2014-01-11
  • [学会発表] 膜を横切る脂質の運動、フリップフロップについて2013

    • 著者名/発表者名
      小林俊秀
    • 学会等名
      第10回「生体膜・コロイド研究の最前線」
    • 発表場所
      東海村
    • 年月日
      20131218-20131219
    • 招待講演
  • [学会発表] Imaging lipids and lipid domains

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T
    • 学会等名
      2nd Mini Symposium “Protein-lipid interactions”
    • 発表場所
      Piran, Slovenia
    • 招待講演
  • [備考] 小林脂質生物学研究室理化学研究所ホームページ

    • URL

      http://www.riken.jp/research/labs/chief/lipid_biol/

  • [備考] 小林脂質生物学研究室オリジナルホームページ

    • URL

      http://www.riken.jp/lbl/mainpagelbl.html

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公開日: 2015-05-28  

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