研究課題
平成27年度は、体節細胞由来の細胞が鱗や鰭条への分化する過程を解析するために、メダカを用いて体節細胞をラベルしてトレースする実験系を2種類作出した。一つ目はCreER-loxPシステムによる方法である。まず、bアクチンプローモーターの下流にCreERをつないだトランスジェニック(Tg)メダカを作出した。このTgとすでに確立されていたbアクチンプロモーター-loxP-mCherry-loxP-GFP TgのF1に対してTamoxifenを処理すれば、Creが核以降することによりloxPに組み替えが生じて時期特異的にGFPを発現させることが可能である。実際に幼魚に対して5uM Tamoxifenを処理したところ、鱗や鰭条に分化すると推定される体節の外側に位置する皮筋節細胞群(鱗や鰭条に分化すると推定される)がモザイク的にラベルされることがわかった。少数の皮筋節細胞群がラベルされた個体を選べば、細胞追跡が可能となる。2つ目の方法は、osterix-GFP :bアクチン-DsRed double Tgの細胞を胞胚期で野生型に移植する方法で、移植した細胞はすべてDsRedでラベルし、そのうち骨に分化したことをGFPで証明できる実験系である。実際に予定中胚葉領域に100個程度の細胞を移植すれば高い確率で少数の体節細胞を追跡できることがわかった。bアクチンプロモーター-GFPが一生涯安定に発現し続けることは確認ずみであり、今後、ラベルされた細胞が鱗と鰭条の骨細胞に分化する過程を時系列的に追跡する予定である。特に羊膜類では筋肉と真皮に分化することが知られている皮筋節細胞が魚類ではこれらのlineageからいつどこで鱗と鰭条に分かれるのかに注目する。
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Zoological Letters
巻: 1 ページ: 3-16
10.1186/s40851-014-0001-0