本研究では、軟骨魚の鱗の骨形成細胞が由来する組織を細胞系譜解析によって明らかにするために、胚操作技術をトラザメに導入すること、また、メダカやゼブラフィッシュの鱗や鰭条が体節内のどの細胞を起源とするのかについて明らかにすることを目指した。その結果、30ゲージ注射針を用いていわゆる腹腔手術の要領でトラザメ胚の胚操作が可能であること、また、ゼブラフィッシュ体節細胞のうち脊索近くに位置する皮筋節細胞群の一部が移動して背側の間葉集団に分化し、これらの一部が鰭条の骨細胞を供給することが示唆された。本研究によって脊椎動物の骨格の進化について新たな知見が得られる道が開かれた。
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