研究課題/領域番号 |
24657151
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
垣内 康孝 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 准教授 (90396268)
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研究分担者 |
岡村 浩司 独立行政法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部組織工学研究室, 室長 (80456194)
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キーワード | 細胞 / 細胞分化 / 三次元培養 / 真正粘菌変形体 / フラグメント化現象 |
研究概要 |
【粘菌細胞を用いた解析系の立ち上げ】細胞-基質の接触による初期細胞応答に特化して解析するためには、細胞分化を生じない系を用いるほうが良いことから、細胞性粘菌および真正粘菌を用いた解析系を立ち上げた。特に、実施者が真正粘菌変形体で見出した形態形成現象である「フラグメント化」現象では、形態形成現象を生じる臨界条件前後での細胞運動および遺伝子発現傾向の違いを解析することが可能なため、本研究では真正粘菌変形体を主たる解析対象とすべく、変形体の刺激-観察に適した実験系を立ち上げた。 観察装置は、顕微鏡に固定できるアルミフレームをくり抜いてガラス板を取り付け(アルミチェンバー)、チェンバー内に微小変形体を置いて観察できるようにした。アルミフレームにはペルチェ素子を取り付け、プロファイル制御により温度および温度低下の勾配を自由に設定して、チェンバー内の変形体が低温刺激によるフラグメント化現象(温度フラグメント化)を生じるようにした。(現在、安定した温度フラグメント化が生じるよう、装置および設定を調整中)。 【ペプチドゲル基質に置かれた微小変形体の形態形成および細胞運動】予備的な観察ながら、微小変形体を置いたRADA-16ゲル基質の状況により温度フラグメント化現象の傾向が異なることを確認している。また、フラグメント化現象により生じたフラグメントの細胞運動においても、基質による運動特性の違いを予備的に観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ペプチドゲルによる細胞分化・細胞応答傾向の解析」については、RADA-16ゲル単独でのHL-60培養による細胞分化・細胞応答傾向の解析について、コレステロール関連遺伝子、コレステロール動態、コレステロール投与の効果について解析を進めた結果、コレステロールがRADA-16による三次元構造刺激のシグナル伝達因子であることをほぼ突き止めることができた。これらの結果は平成24年度中に学術論文に報告することができたので、ここまでの研究はおおむね順調に進展していると考えている。 いっぽう、平成25年度からモデル生物として真正粘菌を用いた解析を手掛けているが、これまで用いていた観察系をそのまま用いて解析を行う予定であったところ、真正粘菌に適合させるために実験装置類が市販品では存在しないか、または極めて高額であったため、自作により調達する必要が生じた。実験装置の開発・制作に想定以上の時間を要したため、本年度は解析が進まなかった。したがってこの点に関しては、研究はやや遅れていると考えている。支援期間について1年間の延長を申請しており、平成26年度中に当初目的を達成できるよう取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
【分化傾向に違いのあるゲル間の詳細な構造・物性解析】細胞分化性向を持つことが示された0.01%付近の濃度(前述成果論文)でRADA-16とRADA-4の混合ゲルを作成し、混合比による構造・物性の違いを解析して相転移点を探る。 【ゲル相転移点での細胞応答の解析】 真正粘菌変形体を用いた細胞応答の解析を進める。混合ゲル下での変形体の培養を行い、(1)遺伝子発現解析および関与する遺伝子群/遺伝子発現ネットワークの特定、(2)細胞膜近傍の細胞骨格配向の顕微鏡解析、(3)細胞膜の巨視的形態変化の顕微鏡解析、(4)時空間細胞ダイナミクスの解析(細胞形状・細胞運動・細胞厚変化のダイナミクス)、等を行う。ゲル濃度やゲル構造相転移点での変化に注目する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度のヒト細胞を用いた解析結果を受け、平成25年度より真正粘菌を用いた解析系を立ち上げた。これまで用いていた観察系をそのまま用いて解析を行う予定であったが、真正粘菌に適合させるために実験器具類を改変する必要が生じた。それらの器具は市販品では存在しないか、または極めて高額であったため、自作により調達した。この作業に時間を要し、本年度は解析が進まなかった。解析に必要な試薬類費用等が未使用額として残った。 真正粘菌を利用した基質-細胞応答の解析(時空間細胞ダイナミクスの解析、および遺伝子発現解析)を行い、そのために必要な試薬代(阻害剤類)、器具代(ガラス器具、プラスチック器具)、器具製作のための材料代(金属板、多孔質ガラスなど)、遺伝子発現解析費用(次世代シーケンサ)、および材料維持費用(培地等)として使用する。
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