研究課題
体節はマウスでは約2時間毎に形成されるが、この周期的な過程は分節時計によって制御される。我々は、分節過程では転写抑制因子Hes7がnegative autoregulationを介して自律的に振動すること、Hes7によって多くの下流因子の発現も振動すること、さらにHes7の発現が振動しなくなると体節は癒合し、体節由来の組織である椎骨や肋骨も癒合することを明らかにしてきた。さらに、この分節時計におけるHes7の発現振動は微分方程式を用いた数理モデルで表され、この数理モデルから、Hes7が適度なタイミングでnegative autoregulationすることが、2時間周期の発現振動に必須であると予測された。Hes7遺伝子には3つのイントロンがあり、このイントロンの転写およびスプライシングに約20分かかっていたが、5分早くnegative autoregulationが起こると、数理モデルからは発現振動が加速化することが予想された。そこで、Hes7遺伝子のイントロン数を削減してnegative autoregulationのタイミングを変えることによって分節時計の周期がどのように変化するのかを解析した。その結果、Hes7遺伝子のイントロン数を2個にしてもほとんど影響は見られなかったが、1個にした場合、5分早くnegative autoregulationが起こり、分節時計のリズムが速くなった。さらに、頚部から上位胸部の体節数が増加し、この領域の椎骨数も増加した。 すなわち、数理モデルの予測が正しいことが明らかになった。したがって、Hes7 遺伝子におけるイントロンの正常な数が分節時計の正常な周期に重要であることが示され、Hes7 遺伝子は分節時計の周期形成に中心的な役割を担うことが明らかになった。
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Cell Reports
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