研究課題
筋芽細胞への運命決定には転写因子Myf5やMyoD、筋芽細胞から骨格筋への最終分化・筋管形成にはMyogeninが必要とされる。しかし、筋芽細胞が、myogeninを発現して分化し、互いに融合して多核の筋管を形成するメカニズムには未解明なところが多い。本研究では、樹立筋芽細胞株C2C12細胞の分化によって、Myogeninを発現して筋管形成を担う細胞と発現しない細胞が生ずることに興味を持った。発現遺伝子の網羅的な比較をおこない、myogenin遺伝子が活性化されない細胞で特異的に発現する遺伝子群の中には、筋ジストロフィーの原因遺伝子が含まれていた。ゼブラフィッシュを用いてその遺伝子が分化細胞の維持に関わり、その結果筋形成を正に制御すること、C2C12 にその遺伝子に対するsiRNAを導入することによっても同様の効果が見いだされた(未発表)。このように、myogeninを発現せず骨格筋形成は行わないが、細胞非自律的に筋形成を正に制御する細胞、「筋支持細胞」の存在を明らかにするため、分子遺伝学的な手法で分化細胞を蛍光タンパク質の発現で区別できる方法を開発した。筋芽細胞や筋衛星細胞を赤色蛍光(RFP)によりモニターできるマウス(MyoD-creER/RFP)、myogeninの活性化を緑色蛍光(GFP)でモニターできるマウス(myogenin-GFP)を作成し、これらを掛け合せたマウスからRFP(+)胎仔筋芽細胞あるいは筋衛星細胞を採取した。それらの細胞から筋分化誘導に伴い、GFP(-) 細胞が産生されるかどうかを検討した。その結果、胎仔筋芽細胞あるいは筋衛星細胞の何れにおいても、単離したRFP(+)細胞の大部分は、myogenin陽性となることが確認された。今後、これらの細胞集団の中に、 C2C12同様に「筋支持細胞」を産生する細胞が含まれているかどうかを検討したい。
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PLoS ONE
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Neuron
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