研究課題
挑戦的萌芽研究
平成24年度は実験計画に従い、以下の研究を行った。1)HesC遺伝子を切断するZFNタンパク質を大腸菌を用いて作製・精製し、ウニ受精卵にマイクロインジェクションすることによって変異導入を行った。その結果、ZFNタンパク質においてもZFN mRNAと同様に変異導入が可能であることがわかった。さらに、変異導入の時期は、mRNAでは受精後6時間以降であったのに対し、3時間での変異の導入が確認でき、変異導入時期を早めることに成功した。これらのZFNタンパク質によって導入された変異について塩基配列の解析を行ったところ、そのほとんどは欠失変異であることが明らかになった。しかしながら、変異導入の割合は低く、タンパク質の導入量を増やすなどのさらなる改善が必要であることがわかった。2)コオロギおよびホヤでの人工ヌクレアーゼの効果を調べるために、GFP遺伝子を破壊する人工ヌクレアーゼ(ZFNおよびTALEN)を作製して、それぞれの種のGFPトランスジェニック系統を用いて破壊を試みた。ZFNを導入した結果、コオロギでは、F0世代でのGFP蛍光の減衰は見られなかったものの、F1世代において蛍光の見られない卵が多数得られた。また、ホヤにおいてはF0世代において蛍光が見られない胚がZFNの導入した集団で観察され、塩基配列を解析したところ、胚によっては100%に近い変異導入率の個体が得られた。これらの結果から両種において人工ヌクレアーゼによる効率的な遺伝子破壊が可能なことが示された。一方、TALENを導入した胚においてもGFP切断は見られたものの、ZFNに比較すると変異導入効率が低いことがわかった。
1: 当初の計画以上に進展している
平成24年度実施予定の研究はすべて行い、予想以上の成果が得られた。ホヤとコオロギの成果については本年度に論文として成果報告をおこなった。ウニへのZFNタンパク質導入実験についても論文作成中である。
平成24年度は人工ヌクレアーゼとしてZFNを中心に使用していたが、次世代のTALENの方が作製が容易で標的配列についても自由に選ぶことができる。そこで、次年度以降のウニゲノムへの遺伝子ノックインについてはTALENを利用して実験を行う。また、遺伝子機能解析のツールとしての人工ヌクレアーゼの可能性についてもTALENを利用して検討する。
人工ヌクレアーゼとして新しくTALENを利用し、計画を遂行する。そのためTALENの作製開発を中心に本年度残額と次年度経費を合わせて計上する。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 備考 (2件)
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