研究課題
発生期の鳥類終脳背側領域(外套:哺乳類大脳皮質と相同領域)に存在する、脳基底膜側で分裂する細胞 (basal progenitors) の特性を詳細に解析した。これらの細胞はPax6やSox2といった神経幹細胞マーカーを発現しているだけでなく、基底膜側に伸張している突起(放射状グリア突起)を有していることがわかった。この事実より、鳥類のbasal progenitorsは哺乳類の中間増殖細胞 (Tbr2陽性、多極性の形態) とは大きく異なり、むしろ霊長類や一部の哺乳類大脳皮質に見られる outer Radial Glial Cells (oRGCs)に類似していることが明らかとなった。また哺乳類で中間増殖細胞の数を増大させる Cdk4/CyclinD1 を鳥類外套で強制発現すると、Tbr2陽性の幼若神経細胞の数は増大するが、basal progenitors の数には変化が無かった。一方哺乳類のTbr2遺伝子を鳥類で強制発現しても basal progenitors の数は増大しなかった。さらに、様々な羊膜類および両生類の発生期の外套を解析した結果、スッポンおよびアフリカツメガエルの外套領域において、脳室帯から離れた場所で分裂する細胞が存在することが明らかとなった。これらの結果から、basal progenitors を産生する機構は進化的に保存されていること、羊膜類に中でも哺乳類と鳥類でのみ oRGCs が恐らく独自に進化した可能性が示唆された。
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Neuroscience Research
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http://tadnom.jimdo.com
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