細胞性粘菌は雌雄の区別はなく、3つの交配型で有性生殖過程のマクロシスト形成が行われる。本研究は、藻類でオスの性決定に関わる転写因子OTOKOGI (MID)遺伝子のオーソログDdmidの機能解析を行った。Ddmidはすべての交配型に確認され、雌雄性には関与しないことがわかった。DdmidB過剰発現株はホモタリックな接合を行い、マクロシスト様構造を形成したことから、有性生殖での機能が示唆された。しかし、遺伝子破壊株はヘテロタリック接合に欠陥が見られなかった。これらの結果から、細胞性粘菌のMIDの機能は性決定ではなく、有性生殖を促進する遺伝子を制御するように進化した可能性が明らかになった。
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