研究課題/領域番号 |
24657175
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
綿貫 茂喜 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (00158677)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 体温調節 / 心拍変動 / 全身的協関 |
研究概要 |
外界の温度変化に伴って我々は暑さ寒さを感じ、意識・無意識的にそれらに対応する。外界からの温度受容は末梢感覚神経が温度刺激を電気信号に変換して中枢へ伝達され体温調節反応が生じる。しかしヒトは高次の脳機能を有するため暑さ寒さをイメージする映像呈示においても、実際の暑熱寒冷刺激に類似した生理反応を示す。そこで本研究では暑熱・寒冷環境下で寒い印象と暑い印象を与える映像を提示し、両情報に齟齬が生じた場合はどちらの情報が優位なのかを検討し、視覚優位な人と末梢からの温度情報が優位な人の群において基礎体力や心理特性など共通する因子があるかを明らかにすることを目的とした。 初年度では①暑い印象を与える映像と、②寒い印象を与える映像を呈示する。①及び②はゆるやかに風景が変化していく動画である。なお、いずれの映像にも音声は呈示しない。暑熱暴露実験では28℃から60分間で36℃までゆるやかに変化させる。寒冷曝露実験では28℃から80分間で16℃まで緩やかに変化させる。両条件ともに相対湿度は常に50%、風速は0.3m/s以下とした。被験者の服装は灰色のTシャツとショートパンツとし、各種生理値・主観評価を測定した。その結果、寒冷曝露実験では暑い印象の映像(齟齬がある場合)、寒い印象の映像(齟齬がない場合)に比べ深部体温がより低下し、皮膚温が低下し難いという結果が得られた。すなわち、寒冷曝露時に暑い印象を提示すると、血管拡張が起こりより深部体温の放熱が促進されたことが考えられる。一方で、暑熱暴露時では全体の結果からは有意な差は無かったが、映像の違いにより、生理反応に差が出る被験者と出ない被験者がおり、暑熱刺激に対してはより視覚有意、末梢優位の群が存在することを示唆した。次年度ではこのような群が存在する要因をより詳細に探っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的は達成された。さらに得られた結果の要因を検討する実験を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、視覚優位と末梢優位の個体がどのような要因によって形成されるのかを検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
追加の被験者への謝金や、成果発表の旅費として使用する。
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