本研究の目的は暑い・寒いという印象による視覚刺激が、実際の体温調節反応に影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。その結果、常温環境下では暑い映像、寒い映像を呈示した時に、心拍変動や総末梢血管抵抗が有意に変化した。すなわち暑い映像条件では実際の暑熱曝露時の血管が拡張する傾向があり、寒い映像条件では血管が収縮、心拍数が低下する等の反応が見られた。さらに環境条件を寒くし、かつ暑い映像を呈示した場合、深部体温が寒い映像を提示した場合よりも有意に低下した。一方で、映像の効果が体温に見られない被験者もおり、印象の寄与には個人差があると考えられた。
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