研究課題/領域番号 |
24658004
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山田 哲也 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20422511)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | タバコ / 種間雑種 / 雑種致死 / 克服 / 次世代シーケンサー / 比較トランスクリプトーム / DNAメチル化 / miRNA |
研究概要 |
タバコ属種間雑種(Nicotiana suaveolens x N. tabacum)の雑種実生において,致死性を克服した個体が出現する頻度を求めたところ,非常に高い頻度で致死克服個体が得られることを確認した.本実験により得られた克服個体は,今後の実験(脱メチル化阻害剤の処理,メチル化DNA領域の網羅的解析)に用いることができる. タバコ属種間雑種(Nicotiana suaveolens x N. tabacum)の培養細胞において,致死性を克服した細胞培養系統を選抜し,DNAメチル化を阻害する薬剤(脱メチル化剤:ゼブラリン)を種々の濃度で処理したところ,対照区に比べ,細胞の増殖が抑制され,致死性が誘導されていることを示唆する結果が得られた.本結果は,培養細胞における致死性の克服が,致死性に関わる何らかの遺伝子の発現がDNAメチル化により阻害されている可能性が示唆された. タバコ属種間雑種の培養細胞について,致死性が誘導される系統と致死性を克服した系統から,高純度のmRNAおよびmiRNAを抽出する方法を確立した.抽出したmRNAについて,次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析を実施し,リードデータを得た.今後は,培養細胞で確立したRNA抽出法を用いて,雑種実生においても同様にmRNAとmiRNAの抽出を行い,RNA-seq解析を行う予定である.また,mRNAのRNA-seq解析で得られたリードデータを用い,de novoアセンブルを実施して,系統間の比較トランスクリプトーム解析に用いる参照配列を構築する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究棟の改修工事により,研究材料(タバコ)を育成するために必要な恒温室が一定期間使用できなくなったため,実験を中断せざるを得なかった.また,脱メチル化剤の処理が致死克服個体や細胞の生育に及ぼす影響を評価するためには,均一な試料を実験に供試する必要があり,その手法の開発に時間を要している状況である.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度,脱メチル化剤の処理が致死克服個体や細胞の生育に及ぼす影響を評価した際,実験結果の再現性の低さが問題となり,その原因が試料(葉および培養細胞)の発達ステージの不均一性であることが明らかとなった.この問題を解決するため, Fv/Fm値(クロロフィル蛍光値)から光合成活性を評価できる装置(Chlorophyll Fluorometer, JUNIOR-PAM, WALZ社製)を前倒し請求により購入した.本年度は,この装置を用い,葉および培養細胞の発達ステージを正確に評価することで,均一な試料を実験に供試することができるようになるため,所期の計画通りに研究を進めることができると考える.また,比較トランスクリプトーム解析に必要な参照配列の構築は,他の研究課題において開発した方法を摘要するため,比較的短期間に完了する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
脱メチル化剤処理やRNA-seq解析に必要な消耗品や器具類を購入するために使用する予定である.また,研究成果を発表するための旅費等にも使用する予定である.
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