本研究では,交雑障壁の一種である雑種致死の問題解決につながる新知見を得るため,致死性を示すタバコ属種間雑種(Nicotiana suaveolens x N. tabacum)の培養細胞を用いた実験を行い,以下の成果を得た.1)雑種培養細胞では致死性が生じる前にオートファジー関連遺伝子の発現量が増加することを確認した.2)雑種培養細胞では高い頻度で致死性を示さない変異株(致死克服株)が生じ,その株の細胞では両親よりもわずかに高いDNAメチル化レベルが検出され,メチル化阻害剤を処理すると温度感受性の細胞死が誘導された.以上から,雑種致死性の克服にはDNAメチル化が関与することが示唆された.
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