タバコなどのナス科モデル植物で確立された葉緑体の形質転換技術をパンコムギに適用し、葉緑体の遺伝子組換え体を安定的に得る方法を確立すること、ならびにこの技術を用いて、強光や乾燥などの非生物的ストレスに強いパンコムギを育成することを目的に、以下の実験を行った。非生物的ストレスを受けた際、葉緑体内に発生する、有害な活性酸素分子種(ROS)の消去を担う、アスコルビン酸ペルオキシダーゼの遺伝子(apx)をパンコムギ用の葉緑体形質転換ベクターにクローニングし、そのDNAを遺伝子銃で未熟胚由来のカルスに射出して、組換え体を選抜したが、葉緑体ゲノムにapxを持つ組換えコムギは得られなかった。
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