研究課題/領域番号 |
24658012
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
岸本 直己 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム機能改変研究ユニット, 主任研究員 (00370651)
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キーワード | バイオテクノロジー / 植物 / 遺伝子 / サイレンシング / 育種学 |
研究概要 |
本研究では位置効果(ゲノム内の挿入位置に依存した形質転換遺伝子の転写抑制)等、転写レベルの遺伝子不活化(Transcriptional gene silencing: TGS)を回避して導入遺伝子をより安定的に発現させるためのDNA配列を、植物ゲノムから見つける方法の確立と、その方法により“TGSを抑制する配列”(以下“ASR”と略記)の検索を目的とする。当該年度は我々が開発した“ASR”の単離方法及び単離した“ASR”3種類に関する特許が公開された(後述)。研究計画は職務の都合で大幅に遅れた:(1)アラビドプシス開花遅延遺伝子FWAに変異を導入して内在性FWAと区別可能にしたDNAをpBG系プラスミドに組込んだ後、FWAプロモーターのdirect repeats上流に、他種植物ゲノムDNA断片を挿入した“ASR”検索用ライブラリーを構築;(2)「導入FWA遺伝子が必ずTGSを起こす形質転換系」を用いると“ASR”の“TGS抑制能力”がモニターできる(岸本ら, 2013。“TGS抑制能力”がある場合、導入FWA遺伝子が発現して開花が遅延する)。この方法で作出した組換体から開花遅延個体を選抜し、(1)のDNA挿入部位特異的プライマーを用いたPCRを行って“ASR”を回収;(3)上述の“ASR”のうち“異種植物でもTGS抑制活性を示すASR”について“TGS抑制活性”に重要な領域を絞り込む。 (3)については当該ASRを3分割し、(2)の「形質転換」の後、どの分割を有する形質転換体で開花遅延が認められるかを調査したところ、最も5’上流寄りの1/3領域や中間の1/3領域では開花が遅れたが、最も3’寄りの1/3領域では対照区と開花時期がほぼ等しかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・農林水産省技術会議事務局勤務(勤務先は東京霞が関。人事上は現職と併任)となったため、当該年度後半の6ヶ月間(10月から翌3月まで)は研究を実施できなかった。 ・計画(1)でライブラリー構築に供試していたpBG系プラスミドについて、発売元が発表していた塩基配列に重大な誤りがあることが判り、プラスミドを変更した。また、内在性FWAと区別可能にする目的で、ライブラリー構築に用いるFWAに変異を導入するためのPCR用長鎖プライマーを設計したが、いずれも増幅が認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、既に「研究実績の概要」で記した研究計画(1)から(3)を継続する。特に、計画(1)では、異なるpBG系プラスミドを供試する。また、FWAへの変異導入用プライマーの再設計を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
【現在までの達成度】の項で記した理由(研究進捗の遅れ)により、当該年度は研究支援者等の雇用を見合わせたために、当該研究費が生じた。 物品費(プラスチック器具類、遺伝子工学試薬(酵素、キット等含)などの消耗品費)として、470,000円、人件費・謝金として700,0 00円、合計1,170,000円、の使用を計画している。
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