当該年度の研究計画も大幅に遅れた:昨年度記した「今後の研究の推進方策」のうち、(3)、すなわち、岸本ら(2013)の方法【導入したアラビドプシス開花遅延遺伝子FWAが必ずTGSを起こす形質転換系を用いると、“ASR”に“TGS抑制能力”がある場合、導入FWA遺伝子が発現して開花が遅延する。この実験系で“ASR”の“TGS抑制能力”がモニターできる。】を用いて、既に岸本ら(2013)によって見い出された3種類の“ASR”のうち“異種植物でもTGS抑制活性を示すASR”について、昨年度から引きつづき、当該ASRを3分割して“TGS抑制活性”に重要な領域を絞り込むための実験を供試個体数を増やして継続した。その結果、やはり最も5'上流寄りの1/3領域や中間の1/3領域では開花が遅れ(これらの領域に“TGS抑制能力”がある)、最も3'下流寄りの1/3領域では対照区と開花時期が同じ(この領域には“TGS抑制能力”が認められない)傾向があることを確認した。現在、これら“TGS抑制能力”が高い領域を含む、実用的な形質転換用ベクターの構築に取組んでいる。しかし、昨年度記した「今後の研究の推進方策」の(1)と(2)、即ち(1)「アラビドプシス開花遅延遺伝子FWAに変異を導入して内在性FWAと区別可能にしたDNAをpBG系プラスミドに組込んだ後、FWAプロモーターのdirect repeats上流に、他種植物ゲノムDNA断片を挿入した“ASR”検索用ライブラリーを構築」する計画は、FWAに変異を導入するための長鎖プライマーを用いたPCRに失敗したため、(2)の計画、即ち「(1)で構築したライブラリーから前述の岸本ら(2013)の方法よって新規“ASR”のスクリーニング」も実施出来なかった。
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