作物栽培において,肥料が必要であることは常識であるが,日本には長期間無施肥でイネの高収量を達成している農家がある。本研究は,長期間無肥料でも持続的に高収量を達成するメカニズムを水田の窒素収支から解明するために行った。東北地方の収量差の大きな無肥料栽培水田6カ所で,稲の生育と水田の土壌と作物の窒素収支を調査した, 高収量水田は,低収量水田に比べワラの分解能力が高く,土壌の無機窒素供給力が高く,そのことが栄養成長期に分げつ活性を活発にし,穂数を確保できていたが,低収量水田は無機化窒素の供給力が低く稲の生育が遅れ雑草との競争のため穂数が低くなることが収量の主要な制限要因となっていた。
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