研究課題/領域番号 |
24658015
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 雄佐 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80122919)
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研究分担者 |
中村 聡 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (00289729)
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キーワード | スイートソルガム / 茎収量 / 茎形質 / 節間長パターン / 節間断面積パターン / 節間 |
研究概要 |
異なる播種期による栽培で節間長パターンと気象変動との関係を見る研究は,準備期間中のデータも含めると,昨年度までで,4年分揃ったこと,また,データ解析に,想像以上の時間がかかることがわかったので,その4年分のデータの解析を中心にすることにした.現在までのところ,節間長パターンを形成するピークとなる節間や,谷となる節間が,いつ伸長したのかを,葉数増加のデータから解析する方法を確立し,それをもとに気温等,気象要因との関係について解析を進めている. 施肥法の違いによる茎形状への影響の研究では,6月7日に播種した.供試品種は風立で3反復とした.基肥だけの区と,基肥に追肥を行う追肥区を設けた.追肥の時期は,第8葉展開完了期(I区:7月12日),第12葉展開完了期(II区:7月25日),第16葉展開完了期(III区:8月9日).節間長パターンでは,II区が第15節間(IN15)より上位の節間で,1 節間位分ズレた形のパターンとなった.この原因を解析したところ,II区だけ,追肥2週間後から展開葉数の増加が早くなっていたことが明らかとなった.逆に考えれば,節間位がズレても,同じ気象の時には,同じように節間が伸長して,同じようなパターンが形成されると考えられた. また,今回からは,パターンの解析を拡大して,節間の太さを表す節間断面積パターンの解析も平行して行うことにした.その結果,追肥によって,節間断面積パターンは,型としては同様であったが,絶対値に差が出て,肥大が,収量に直接的に結びつくことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる播種期による栽培で節間長パターンと気象変動との関係を見る研究に関連して,節間長パターンを解析するためのツールとして利用できる,各節間の形成期推定法を確立できたことが大きな成果と考えられる.また,その推定法を用いて過去のスイートソルガム栽培データ(2007年,2011年,2012年)を解析し,日本作物学会紀事に論文として投稿し,受理されたことにより,その解析法の有効性を確認できた. 施肥法の違いによる茎形状への影響の研究では,葉数増加速度が速まったとき,節間長パターンがズレることが見いだされ,気象変動との関係を考察するのに都合のよいデータが得られたと考えている. さらに,節間長パターンだけでなく,節間断面積パターンについても解析を広げ,収量性や耐倒伏性に対して,多面的に考察できるようになったと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となったために,最も重要な,節間長パターンに影響を及ぼす要因,特に気象要因の解析を中心に行う.4年分のデータを用いて,それぞれの節間の伸長時期を推定し,その前後の気象要因との関連性を調べる.それをもとに,節間長パターンが形作られる要因を絞り込んでいく. また,各節間の伸長時期の推定法を確実なものとするために,生育に従って植物体を解剖し,実際の節間伸長と比較し検証する. 施肥の影響についても,さらに確認し,節間長パターンなど,茎の形質を制御できる栽培法について考察できるようにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた出張について,予想以上に経費を抑えることができたため. スイートソルガムの生育調査や成長解析を補助してもらうための謝金とする.
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