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2012 年度 実施状況報告書

常緑性C4植物トキワススキの耐冷性に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24658016
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京大学

研究代表者

青木 直大  東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (70466811)

研究分担者 大杉 立  東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343107)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードC4植物 / 耐冷性 / トキワススキ / 光合成
研究概要

本研究は、耐冷性の強いC4植物であるトキワススキ(Miscanthus floridulus)を近縁種で耐冷性の弱いススキ(M.sinensis)を多面的に比較することによって、トキワススキの形態、光合成、代謝生理における特徴を明らかにするとともに、耐冷性に関わる代謝レベルおよび分子レベルでの知見を得ることを目的としている。本年度(初年度)は、これまでに研究例が非常に少ないトキワススキの生理生態学的特性を明らかにしつつ、耐冷性に関する生化学および分子生物学実験に堪えうる実験系の確立を目指した。
1.東京大学弥生キャンパス内の圃場にてトキワススキ(3系統)およびススキ(1系統)を栽培し、年間を通して生育状況を比較した。ススキは10月中旬に出穂後、徐々に葉色が薄くなり12月下旬から茎葉が枯れ始めた。これに対して、トキワススキは7月上旬に出穂し、以後冬期を通じて葉色は濃い緑色を維持し茎葉が枯れることはなかった。9月上旬に、携帯型光合成測定装置を用いて個葉のCO2同化速度を比較したところ、ススキに比べてトキワススキで有意に高いことが分かった。トキワススキは一株の大きさ(茎葉重量)がススキの2倍程度になることと合わせて考えると、トキワススキはススキに比べて、春から夏にかけてのバイオマス生産能が圧倒的に高いことが示唆された。CO2同化速度の測定に用いた葉は、測定後にサンプリングを行い凍結保存した。これらの葉サンプルを用いて、現在、光合成関連酵素活性の測定や糖・デンプンなどメタボライトの定量解析を進めている。
2.株分けした一茎をビニールポットに移植したところ、移植後約2週で腋芽から新芽が抽出した。各個体(一茎)で出芽および成長速度が一様にならないといった問題はあるが、グロースチャンバー内で低温処理を行うための基本的な実験系が確立できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

トキワススキは研究例が非常に少ない植物種であり、これまでに他の近縁種と同条件化で栽培し生育等を比較した報告すらなかったが、本年度の研究によって、トキワススキの高いバイオマス生産能の一端が明らかになった。今後、研究成果を発信する上で重要な基本情報が得られたことは評価できると考える。
また、初年度の重要課題であった実験系の確立に目処が立ち、両種の葉サンプルを用いた光合成関連酵素活性やメタボライトの定量解析も順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

次年度は、屋外での栽培試験を行い、バイオマス生産能や光合成機能に関して初年度に得られた結果との差異を検討するとともに、グロースチャンバー内での低温処理実験を行う。その際には出来るだけ均一な実験材料を準備するように工夫し、低温処理に伴う酵素活性やメタボライト量の変化、さらには次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行う。平成26年度(最終年度)は、2年間で得られた結果を確認・補足する実験を行い、トキワススキの耐冷性に関わるメタボライト、代謝酵素、および遺伝子の候補を絞り込む。
研究代表者と分担者は同じ研究室に所属しているため、基本的には全ての実験を共同で行うが、研究代表者(青木)は、主に屋外での栽培試験の実施、およびトランスクリプトーム解析を行う。研究分担者(大杉)は、主にグロースチャンバー内での低温処理実験の実施、および酵素機能解析とメタボライトの定量解析を担当する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

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公開日: 2014-07-24  

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