特定外来生物で北米原産ウリ科雑草のアレチウリは日本各地の河川敷や畑,飼料畑等に蔓延し,在来植物や農業生産に大きな影響を与え,防除を行うために多くの人手やコストがかけられている。アレチウリはシードバンクから長期間にわたって繰り返し発生することから,安価で設置しやすい市販のメッシュ被覆資材を使用し,アレチウリの大型の実生が通過できない環境を作り出し,発生抑制効果を明らかにするとともに,実生発生数の中期的なカウントと種子埋土実験によって,どの程度シードバンクが消費されるのかを検討した。 市販の4000μmメッシュ被覆資材を2013年から継続的に野外に設置した結果,2014年にメッシュ資材を通過するアレチウリの個体は観察されず,資材設置による発生抑制効果が確認された。また被覆資材は紫外線や降雨等で現状では劣化することなく使用することができた。予備試験を含む2011年から2014年まで被覆資材設置エリアに隣接する場所でアレチウリ実生発生数を計測し,毎年アレチウリの実生を除去し続けた結果,y = exp(3.5244-0.4763t) のポアソン回帰モデル式が得られた。このとき,yは単位面積当たりのアレチウリ実生発生数,t は除去年数である。アレチウリの除去を開始した年は32.7個体/m^2の発生数があったが,3年目には5.4個体/m^2まで減少した。回帰モデル式からアレチウリ実生個体の発生数が1以下となる年数は7.4年と推定された。2013年5月に埋土した種子を2ヶ月ごとに掘り出して発芽・生存率を測定した結果,20ヶ月で55%死滅することが明らかとなった。
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