研究課題/領域番号 |
24658019
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
望月 俊宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60239572)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ダイズ / 耐湿性 / 高二酸化炭素 |
研究概要 |
申請者が考案した水耕栽培法(坂園ら 2011)を改良し、溶液を循環させ、水耕槽外で管理・調整するシステムを構築した。水耕槽にはプラスチック製コンテナ(386mm x 256mm x 135mm)を用い、溶液上には発泡スチロール板を浮かべ、植物体はシリコン栓で支持する。コンテナ両側面にinlet(下部)とoutlet(上部)を設け、アクリルチューブを通して溶液を循環させた。溶液は水耕槽外の大型フラスコ内(処理槽)で調整し、循環させ、フラスコ内およびoutlet部において処理物質(酸素、二酸化炭素)の他、温度、pH、酸化還元電位などをモニターした。 この実験系において低酸素(約1mg/l)および低酸素(約1mg/l)+高二酸化酸素(約170mg/l)の影響について検討したところ、地上部乾物重は高二酸化炭素条件が加わることで30~40%減少し、総根長は70~80%減少した。 さらに水田転換圃場において1週間の湛水実験を行ったところ、土壌溶液中全炭酸濃度は150 mg/l 以上であったことから、ダイズ耐湿性の評価において、高二酸化炭素の影響について考慮する必要のあることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
システムの構築が、当初計画以上に順調に進んだ。 さらに湛水したダイズ転換畑における土壌溶液中全炭酸濃度を測定することによって、実際の圃場条件下における高二酸化炭素障害の可能性について明らかにすることが出来た。 また、供試2品種における根の生育抑制程度に差異が検出されたことから、高二酸化炭素耐性の品種間差異の検討が可能であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に構築したシステムにおいて、品種間差異について検討するとともに、酸化還元電位の影響についても精査する。また、還元下では電子受容体として利用され、ダイズの生育を阻害する鉄およびマンガンイオンの影響についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、当研究室在籍スタッフによって十分な研究が実施できた。従って24年度計画において計上していた人件費(研究補助)について支出がなかった。25年度は品種間差異について検討するため、実験スケジュールがタイトになるため、研究補助の人件費を繰り越して使用する。
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