研究課題/領域番号 |
24658025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田尾 龍太郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10211997)
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研究分担者 |
羽生 剛 愛媛大学, 農学部, 助教 (60335304)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 果樹 / ブドウ / 倍数性 / ゲノムインプリンティング / 次世代シークエンス技術 / 受粉受精 / 胚発生 / 胚乳発生 |
研究概要 |
本研究は,全ゲノム情報が利用可能なブドウ属(Vitis) を用いて, 異倍数間交雑によるゲノム量の変化が,胚発生や栄養器官の生育に対して与える影響を全ゲノムレベルで調査し,異倍数体間交雑応答の分子制御機構を明らかにしようとするものである.研究初年度の本年は,以下の研究を行った. ヨーロッパブドウ(V. vinifera)‘Rosaki’ と雄性不稔のアメリカ系台木ブドウ(V. riparia × V. berlandieri)‘5BB’ の二倍体(2x) およびコルヒチン処理によって作出したそれらの四倍体個体 (4x) を用いて,[2x × 2x],[2x × 4x],[4x × 2x], [4x × 4x] (いずれも’5BB’ x ‘Rosaki’)の交雑を行い,胚と胚乳の発生過程を顕微鏡観察し,異倍数体間交雑と同倍数体間交雑において,胚発生過程の観察を行った. 顕微鏡による組織観察と並行して行う予定の遺伝子解析実験のために,胚乳発生を制御するポリコーム複合体構成遺伝子群およびその関連遺伝子群を各親由来のアレルを区別して発現解析を行うために,これら遺伝子をPCRクローニングし,ブドウにおけるSNPs情報の整理を試みた.しかしながら,両親アレルのSNPsの存在が明確でないものがあり,まだ全てのアレルの区別が可能にはなっていない. 倍数性の変化や両親ゲノムのバランス崩壊は,主にクロマチン構造の修飾などを通じて,非相加的調節遺伝子の発現を制御し, 形質変化を引き起こすと考えられている.そこで,ブドウ交雑後代 (2x, 3x, 4x) において, 異倍数間で生育が異なるステージでIllumina社の次世代シークエンサーHiSeq2000とSNPs情報を利用したRNAseq解析を行うためのRNAサンプルの調整を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標である異倍数間交雑によるゲノム量の変化が,胚発生や栄養器官の生育に対して与える影響の全ゲノムレベルでの調査には至っていないが,組織学的な観察ならびに全ゲノムレベルの調査のためのサンプル採取も順調に進んでいるため,研究の達成度は概ね順調であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標であるブドウにおける異倍数間交雑によるゲノム量の変化が胚発生や栄養器官の生育に対して与える影響を全ゲノムレベルで調査するために,今後は次世代シークエンシング技術を活用してデータ取得を行っていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には,本年度に得たサンプルと次年度に得るサンプルの両者を活用して,次世代シークエンシングを行う予定である.このため研究経費の多くを次世代シークエンシング分析のための経費として利用する予定であるが,本年度に行った研究を,次年度に再検証するための経費も相当額使用する予定である.
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