研究課題/領域番号 |
24658027
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
細川 宗孝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40301246)
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キーワード | Nicotiana / キクスタントウイロイド / 抵抗性 / 罹病性 / 次世代シークエンス / 遺伝子組み換え |
研究概要 |
これまでの研究でNicotiana tabacumはウイロイドであるキクスタントウイロイド(CSVd)に対して抵抗性を持つが、Nicotiana benthamianaはCSVdに対して罹病性であることが明らかとなっている。昨年度、N.tabacumにCSVdの全長配列(環状にならないように付加配列を持たせた)あるいは部分配列を組み換え、非組み換え体のN.tabacumあるいはN.benthamianaを接ぎ木したところ、組み換えRNAの穂木への移行は見られなかった。そこで、N.benthamianaを組み換え、非組み換え体のN.benthamianaを接ぎ木したところ、若干の外来RNAの移行が認められた。そこで、組み換えたCSVdの全長配列の生体内移行性、特に細胞内移行性を共焦点レーザー顕微鏡で調査したところ、シグナルを検知するには至らなかった。これは、N.benthamianaでの組み換え遺伝子の発現量が極めて低いことが原因であった。現在、新しい組み換え体を作成するとともに、F2を選抜し発現効率の高い個体を選抜している。次に、N.benthamianaにCSVdを感染させると、感染は起こるものの無病徴であることを利用し、感染植物体と非感染植物体との間で発現量が異なる遺伝子を次世代シークエンス解析で探索した。感染植物体と非感染植物体の間で大きく異なる遺伝子は10個程度であり、ウェットな実験の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、遺伝子組み換え個体の遺伝子発現量が低いことが明らかになってから新しい組み換え体の作成を急遽行った。現在、組み換え体を順化中であるので、早々に試験をする予定である。組み換え体を利用した次世代シークエンス解析によってタンパク質の同定作業を行ってゆく予定であったため、約半年間の遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現量の高い組み換え体を選抜し、CSVdの全長配列(非環状)あるいは部分配列の核への移行および、長距離輸送性を確認する(核への移行を確認するための金コロイド免疫電顕法は現在開発中である)。次に接ぎ木によって長距離移行性を確認する。非環状のウイロイド配列が長距離移行すれば、ここまでを論文としてまとめる。次に、次世代シークエンス解析によって、組み換え体で強く発現する遺伝子をウイロイド結合性候補遺伝子としてピックアップする。昨年度にスクリーニングした遺伝子のウェット実験を同時におこない、候補遺伝子を決定する。候補遺伝子をサイレンシングさせた個体を作出し、ウイロイドの長距離移行、核移行性に関わるタンパク質の同定を狙う。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子組み換え体の作成をあらためて行ったうえで先に進むことを考慮し、資金の必要な解析費や謝金等を次年度回しにしたいと考えたため。 次世代シークエンス解析を2回行う。また、解析のための謝金を支払いたい。
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