研究課題
イチゴにより口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome; OAS)を呈する有症者がいる。OASは健康維持の阻害や症状の重症化を招くと同時に、生産物の消費低迷をもたらす。これを回避するためには、品種選抜や栽培方法の改良が必要である。本研究では、イチゴのOAS誘発性評価法の確立を目指し、次の5項目について研究を実施し、イチゴのメジャーアレルゲンと抗アレルギー成分に関する基礎的知見を得た。(1)Fra a 1遺伝子の発現レベルの評価:リアルタイムPCRにより解析した結果、Fra a 1遺伝子の相対発現量には品種間差が存在した。また、野生種のF. vescaのEST情報を調査した結果、塩ストレス下でのFra a 1 a2の発現頻度が高かった。(2)Fra a1タンパク質の解析:大腸菌内で作成した6xHis::Fra a 1融合タンパク質をモルモットに免役し、抗血清を得た。イムノブロットにより調査したFra a 1蓄積量には品種間差があり、遺伝子の発現量と類似していた。塩ストレス下におけるFra a1の蓄積量を調査した結果、40mMのNaClに対する応答性が認められた。(3)イチゴの抗アレルギー成分の評価:果実の粗抽出液を用いたヒスチジンデカルボキシラーゼ活性阻害試験を行い、阻害率に有意な品種間差が認められた。(4)シラカバ花粉感作によるイチゴOAS動物実験モデルの開発:シラカバ花粉抗原(Bet V 1)とイチゴ果実抗原(Fra a 1)との交差性について、モルモットにおける受身皮膚アナフィラキシー反応(PCA)を検討した。その結果、明らかな交差性は認められなかったが、その原因を解明するまでには至らなかった。(5)Fra a 1タンパク質の真空紫外円二色性(VUVCD)スペクトルを測定した結果、加温後の冷却による二次構造の変化が認められた。
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Acta Horticulturae
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International Strawberry Congress (Proceedings)
巻: USB ページ: 6 pages
HortScience
巻: 48 ページ: S308-309
巻: 48 ページ: S308