研究課題/領域番号 |
24658031
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
板井 章浩 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10252876)
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研究分担者 |
及川 彰 山形大学, 農学部, 准教授 (50442934)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナシ / 花粉親 / マイクロアレイ / メタボローム |
研究概要 |
メタキセニアは、花粉親の影響が、本来見られないはずの母親組織である果肉の形質に見られる現象である。申請者らはこれまでに、ナシにおいて、花粉親を変えることによって、果実サイズや形が影響を受けるメタキセニア現象が存在することを発見した。本研究では、1.その原因をトランスクリプトーム等の分子生物学的手法を駆使して、分子機構解明をはかり、2.目的とする果実品質(大きさ、形,味)に適合する花粉親品種の選抜を行い、栽培技術への応用を計ることを目的して実験を行った。ニホンナシ‘豊水’に、5品種の花粉を人工受粉した。受粉後、経時的に果径調査およびサンプリングを行い、収穫期には、果実重、縦径、横径、糖度、酸度、硬度などを測定し、品質調査を行った。また、メタボローム解析を用いて一次代謝産物含量を測定した。‘豊水’の他に‘幸水’に5品種を受粉処理し、同様の調査を行った。結果、豊水’収穫果実において、花粉親の違いによって種子数に差はないにも関わらず、果実重に差が認められたことから、メタキセニアが確認された。‘豊水’において果実重が最大であった花粉親品種と最小であった花粉親品種で約40gと大きな差が見られた。‘幸水’においても花粉親の違いにより果実重に差が認められた。メタボローム解析においても、50を越える物質において花粉親の違いにより差が認められた。マイクロアレイによる受粉後1週目の網羅的遺伝子発現解析により、各花粉親間で100-200遺伝子の発現に大きな差が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現象の確認を数年にわたり確認することができ、さらに新たなメタボローム解析により成分の違いも明らかにすることができた。また原因究明のための、一部予定していたRNA-seq解析ができなかったもののアレイ解析を行うことができ、遺伝子発現解析も結果を得ており、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては、原因究明となる遺伝子発現の網羅的解析を中心に行っていく。またメタボローム解析も、継続して行い、年次を越えて差のある物質を同定することにより、より現象の影響を受ける物質の同定を行い、遺伝子発現の網羅的解析の結果と統合して解析を行う予定である。特に大きな変更点はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
解析を予定していたRNA-seq解析において次世代シークエンサーのバージョンアップが次年度にずれ込んだため、キットチップ等の購入が平成24年度中に行えなくなり、助成金の繰り越しが生じた。平成25年度のバージョンアップ後に24年度サンプルおよび25年度サンプルをまとめて解析する予定である。
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