研究課題/領域番号 |
24658035
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
野田 尚信 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き研究領域, 主任研究員 (10455313)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 花色 / コピグメント / アントシアニン / アシル化キナ酸 |
研究概要 |
アントシアニンと助色素(コピグメント)との分子間会合(コピグメンテーション)は、花の青色発現機構の1つである。これを遺伝子組換えにより人為的に制御することができれば、アントシアニン本体の構造を改変することでは成し得なかった、青色の花色発現を可能にできる。青色発現に有効なコピグメント物質の特定と、その生合成に関与する酵素遺伝子を単離・解析して、花色に関与する遺伝子を特定するとともに、最終的には、植物への遺伝子組換えを行って花色への影響を明らかにすることを目指す。 材料とするアジサイ、アーティチョーク,チコリなどの花弁の色の測定とアシル化キナ酸類の生合成を担うと考えられるHCT ,HQT,C3'Hをコードすると考えられるcDNAクローンの単離を進めた。次年度以降もクローニングと機能の解析を継続し、遺伝子の同定を目指す。また、アントシアニンの色調を変化させるアシル化キナ酸などの有機酸エステルの検索を行うために、アジサイ、アーティチョーク、チコリーなどに含まれているアシル化キナ酸類などがデルフィニジン配糖体に与えるコピグメンテーション効果の解析も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コピグメント物質の生合成に関与する候補クローンの単離やコピグメンテーション効果の解析などは、おおむね順調に進展している。しかしながら、新たな青色発現に有効なコピグメントの特定にはいたっていない。また、今後得られたクローンの機能解析するため、入手が遅れたアシルCoAを用いてキナ酸と有機酸とのアシル化酵素反応の系と反応産物の分析系を早期に確立する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
機能既知のアシル化キナ酸生合成に関与する酵素遺伝子を組換えタンパク質による酵素反応のモデルに用いる。この結果を参考に、平成24年度に得られた遺伝子クローンの組換えタンパク質を用いて、遺伝子産物の酵素活性を確認する。さらに、コピグメンテーション効果の解析も引き続き行い、青色発現に有効なコピグメントの生合成に関与するHCT/HQTやC3'Hホモログのクローン化を試みる。 実験の結果アシル化キナ酸生合成に関わると考えられた遺伝子クローンは、花弁での外来遺伝子の発現に有効であることが解っているプロモーター、翻訳エンハンサー、およびターミネーターを用いてバイナリーベクターを構築して、キクなどへ遺伝子導入を開始したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定額よりも安く納品された消耗品などがあったため28,922円の残額が生じた。繰越金は遺伝子工学実験などの消耗品費として使用する。
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