研究課題/領域番号 |
24658037
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 英樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20197164)
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キーワード | 内生菌 / 植物 / メタゲノム / 遺伝子 / 植物病理学 |
研究概要 |
植物の葉表面や葉組織、根圏には微生物が生息し、植物や病原微生物と相互作用することによって、植物の生育や様々な環境ストレス・病虫害に対する耐性に関わっているものと推察されている。平成25年度は、前年度に確立した細胞間隙液採取法を用いて、宮城県鳴子町の有機育苗および慣行栽培イネ苗から細胞間隙液を抽出し、(1)16SrDNAのPCR-DGGE解析を行った。その結果、有機栽培と慣行栽培のイネ内生菌の微生物叢は類似しているが、有機栽培に特徴的なバンドも存在した。また、(2)同細胞間隙液を培養し、コロニーの形態から有機栽培イネに特徴的な細菌を単離した。単離菌株の16SrDNA塩基配列に基づくデータベース解析より、3菌株はPseudomonas属細菌であることが明らかになった。Pseudomonas属細菌は、我々のこれまでの研究により、異なる地域の有機栽培イネの細胞間隙液からも度々単離されていることから、本年度の研究でも同様に傾向が確認できたと言える。さらに(3)有機栽培イネの細胞間隙液から単離されたPseudomonas属細菌2菌株について、イネ苗病害の抑制効果を調べたところ、それぞれの菌株を滅菌培土に処理することにより、苗立枯細菌病の発病が抑制された。今後、イネ苗病害抑制効果が認められたPseudomonas属細菌2菌株を混合して滅菌培土に処理することにより、イネ苗病害の抑制効果がさらに増強されるかどうかについて検討を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イネ内生菌集団の構造解析を実施することができた。さらに、有機栽培イネに特徴的なPseudomonas属細菌の単離と苗病害抑制効果の確認を行うことができたことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
内生菌集団よりまるごとRNAを抽出し、転写物を指標とした群集構造解析(メタトランスクリプトーム解析)を実施する。さらに、有機栽培イネに特徴的な微生物を単離し、特にイネ苗病害の抑制活性について評価を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PCR-DGGE法で微生物群集構造の解析を行ったため、予定していた経費より余剰分が生じた。 次年度は微生物群集構造の転写物を指標として解析を実施するため、同余剰経費をその解析費用に充てる。
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